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奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

Research 研究

教員

岡村教授 教授

岡村 勝友

椎森助教 助教

椎森 仁美

花井助教 助教

花井 悠真

研究室ホームページ

https://bsw3.naist.jp/okamura/

全学オンラインセミナー

2022年度に開催されたBio Discovery Session(全学オンラインセミナー)のアーカイブ動画の一覧です。
Bio Discovery Session

Webメディア

NAIST Edge BIOは、奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域 の各研究室で取り組んでいる「最先端」の研究プロジェクトや研究成果について、研究者だけではなく受験生や一般の方にも分かりやすく紹介するためのWebメディアです。
NAIST Edge BIO 第16回

研究・教育の概要

私たち生物の形づくりや体質などの大部分は遺伝情報としてゲノムDNA上に書き込まれています。テクノロジーの進歩によりゲノム上にどのような遺伝子が存在しているかは、ほぼ明らかになりました。現在の大きな課題は遺伝子から作られる産物(タンパク質やRNA)がどのような遺伝子発現制御ネットワークを形成し、生命現象の制御を行なっているか明らかにすることです。私たちの研究室では特にmicroRNA (miRNA)と呼ばれる遺伝子群に注目し、遺伝子発現制御機構の解明を目指しています。多くの疾患は遺伝子発現の異常が原因となっており、遺伝子発現制御機構の解明は疾患の原因究明、治療法の開発のほか、ゲノム情報を用いた精密医療の発展にも寄与すると期待しています(図1)。

大学院教育では、古典的な生化学や遺伝学な技術に加えバイオインフォマティクス解析など最新の技術の基礎を学び、これらの技術を駆使し、さらに必要な場合には新たな技術を生み出しながら、重要な疑問に対する答えを見つけ出す能力を伸ばして行くことを目標としています。

図1

(図1) 遺伝子発現ネットワークとその機能の重要性

主な研究テーマ

miRNA発現制御機構

近年の研究で、蛋白質コーディング遺伝子は転写レベルの他、転写後レベルでも発現調節を受けていることがわかって来ました。miRNAの発現も同様に転写および転写後レベルで制御されているはずです。miRNAの発現異常は疾患組織で多く見られ、分子機構の理解が急がれます。私たちの研究室では健常・疾患組織でのmiRNA発現制御をゲノミクスや生化学的手法で研究し、それら分子機構の生物学的意義を細胞・個体レベルで検討します(図2)。

図2

(図2) 研究手法の概要

miRNA生合成経路の多様性

私たちの最近の研究から、典型的なmiRNA生合成経路の他にmRNAスプライシングやリボソームRNA生合成経路を用いて作られるmiRNAの存在が明らかになりました。これらの結果は、種々のRNAプロセッシング機構が意外な形で遺伝子発現制御に寄与していることを示唆しており、その分子機構の解析を行うとともに、これらの分子機構の生物学的意義を解明していきます。

マダニ小分子RNAとウイルス感染症

小分子RNA経路の分子機構や機能する因子は種によって多様性があることが知られています。私たちは病原体媒介節足動物であるマダニの小分子RNA経路に着目した研究を行っています。マダニは脊椎動物や昆虫では失われているRNA依存性RNAポリメラーゼ (RdRP) を保有しており、このRdRP依存性の新規小分子RNA経路を持っていることを明らかにしました。さらに、マダニの小分子RNA経路はウイルスと複雑に相互作用していることがわかってきました。新規小分子RNA経路の分子機構やウイルス相互作用を明らかにすることで、新しい遺伝子発現制御法やウイルス制御への応用につなげることを目指しています。

図3

(図3) マダニRNAi経路の解析