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奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

Research 研究

教員

中島教授 教授

中島 敬二

郷准教授 准教授

郷 達明

久永助教 助教

久永 哲也

研究室ホームページ

https://bsw3.naist.jp/nakajima/

全学オンラインセミナー

2022年度に開催されたBio Discovery Session(全学オンラインセミナー)のアーカイブ動画の一覧です。
Bio Discovery Session

Webメディア

NAIST Edge BIOは、奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域 の各研究室で取り組んでいる「最先端」の研究プロジェクトや研究成果について、研究者だけではなく受験生や一般の方にも分かりやすく紹介するためのWebメディアです。
NAIST Edge BIO 第19回

研究・教育の概要

私たちの研究室では、植物の発生と成長を統御する基盤的なメカニズムの解明に取り組んでいます。成長する植物の内部で刻々と変化する細胞の動態や、遺伝子やタンパク質の発現変化を独自に開発した技術を駆使して精密に捉え、さらにゲノムワイドな解析手法や数理情報学のテクノロジーを融合させることで、植物の発生と成長を駆動する未開拓の現象とその制御系の実体に迫ります。

主な研究テーマ

環境因子に応答した植物の動的成長メカニズム

自ら生育場所を変えることが出来ない植物は、変動する環境に適応して体や器官の形を柔軟に変化させる能力を発達させています。中枢神経や筋骨格系を持たない植物が器官の形態や成長ベクトルを変化させるためには、一つ一つの細胞が分裂や伸長の方向を変化させながら、全体として統一された行動をとらなければなりません。このような複雑な芸当を植物がどのように成し遂げているのかは、大きな謎に満ちています。私たちは、シロイヌナズナの根を用いた高精細なライブイメージングにAIを用いた画像解析や数理モデリングを融合することで、植物の器官が環境因子に応答して自在に成長する機構を明らかにしようとしています。これらの研究は、変動する地球環境下で食糧やエネルギーを持続的に確保する技術の開発にも必須の課題です(図1)。

図1

(図1)

土壌環境のセンサー機能を担う根冠組織の発生と分化制御

根冠(Root cap)は根の先端を覆うキャップ状の組織であり、植物と土壌環境のフロントラインを構成しています。根冠は根端メリステムの物理的な保護に加え、重力方向の感受、摩擦の低減、栄養や水分といった土壌環境の受容など、植物の成長に必須の重要な機能を担っています。根冠を構成する細胞群は、最内層での細胞新生と最外層での自律的な細胞剥離により一定の周期でターンオーバーするユニークな動態を示します。私たちはオミクス解析や独自のライブイメージング技術を用いることで、根冠の発生と機能発現を支える遺伝子群を同定し、それらの機能を解き明かそうとしています(図2)。

図2

(図2)

陸上植物における有性生殖システムの制御と進化

有性生殖は生物の形質に多様性を与え、生物進化の基盤を構成する重要な発生プロセスです。有性生殖の制御機構を明らかにする研究は、食糧の増産やエネルギーの確保においても重要な課題です。植物発生研究のモデルとして多用される種子植物では、生殖細胞が花器官の奥深くで作られ受精するため、その分化過程や遺伝的制御を解析することは非常に困難です、私たちは生殖細胞の形成過程を容易に観察できるコケ植物に着目し、その性形態やゲノム配列を種子植物モデルと比較解析することで、陸上植物に保存された性分化や生殖細胞形成の制御因子を同定しています。これらの制御因子を起点とした研究から、植物に普遍的な生殖細胞の分化機構や受精の制御機構を明らかにしようとしています(図3)。

図2

(図3)