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奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

Research 研究

教員

吉田教授 教授

吉田 昭介

Liu Yuting助教 助教

Liu Yuting

小林助教 助教

小林 和夫

研究室ホームページ

https://bsw3.naist.jp/ssk-yoshida/

全学オンラインセミナー

2022年度に開催されたBio Discovery Session(全学オンラインセミナー)のアーカイブ動画の一覧です。
Bio Discovery Session

Webメディア

NAIST Edge BIOは、奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域 の各研究室で取り組んでいる「最先端」の研究プロジェクトや研究成果について、研究者だけではなく受験生や一般の方にも分かりやすく紹介するためのWebメディアです。
NAIST Edge BIO 第10回

研究・教育の概要

微生物は地球上のあらゆる環境に生息しており、地球環境の恒常性維持に深く関与しています。最近、私たちは自然界では生分解されないと考えられていたプラスチックを分解・代謝する細菌を発見しました。なぜ微生物はこのような特殊な能力を持ち、またそれを持つに至るのでしょうか? 環境微生物学研究室では、微生物の様々なスケールの生体部品を研究対象とし、その機能を明らかにすることで微生物学のフロンティア開拓に挑んでいます。そして、環境問題に資する技術やリファイナリー技術などの開発を通じて、持続可能な社会の実現を目指した研究を展開しています。

主な研究テーマ

分子生物学的アプローチによるPET代謝細菌の機能解明

ポリエチレンテレフタレート(PET)はペットボトルやポリエステル繊維の材料です。私たちが発見した細菌Ideonella sakaiensisはPETを分解・代謝することができます(図1)。これまでに、このPETを加水分解するユニークな酵素の発見から、本細菌がPETを栄養源として利用していることが明らかとなりました(図2)。本研究テーマでは、ゲノム、トランスクリプトームのような分子生物学的な情報を紐解き、遺伝学的手法や生化学的手法を用いてPET分解に関与する分子機構の発見を目指しています。

図1

(図1) Ideonella sakaiensisによるPET分解・代謝
(A, B)PETフィルムに接着、生育するI. sakaiensisの走査型電子顕微鏡画像 (C)PETフィルム表面を洗浄後、観察される分解痕 (D) 精製されたPET加水分解酵素PETaseによるPET分解-直径1μm程度のくぼみがPETフィルム上に多数観察できる。

図2

(図2) I. sakaiensisのPET代謝
I. sakaiensis は2つのユニークな酵素PETaseとMHETaseによりPETを段階的に単量体まで分解することができる。単量体エチレングリコール(EG)とテレフタル酸(TPA)はさらに二酸化炭素と水まで代謝される。

代謝工学によるプラスチックリファイナリーへの挑戦

PETは生分解されないため、自然界に蓄積し、景観や生態系を破壊しています。従来のPETリサイクル手法は、膨大なエネルギーを消費し、激烈な薬剤を使用するなど、高コスト・高環境負荷という問題があります。一方、I. sakaiensisはこのPETを分解し、自身のエネルギーや細胞の構成成分に変換する代謝系を持っています。このPET代謝の発見は、微生物発酵による廃棄されたPETの有効利用の可能性を拓きました。本研究テーマでは、本細菌の特殊な代謝能力に着目し、遺伝子工学的な手法を用いて代謝を改変・増強することで、PETから高付加価値な化合物を生産する株の育種を試みています(図3)。

図3

(図3) 代謝工学によるプラスチックリファイナリー
遺伝子工学を駆使して、細菌の代謝の改変し、PETから有用化合物を生産する株をつくる。

「見る微生物学」による新たな生命機能の探索

微生物研究は、光学顕微鏡を用いての細胞観察、あるいは酵素反応などでその存在を追うことができる分子の生化学解析が中心でした。実際には微生物は細胞よりもずっと小さなナノスケールの構造体を作っていますが、その観察は困難で、機能もわからないため、これまで注目されずにきました。本研究テーマではこれら微小構造体を、光学顕微鏡よりも性能が高い電子顕微鏡や超解像度顕微鏡などを用いて観察することで、新しい微生物の世界に踏み込みこみます。百聞は一見に如かず、「見る」ことから気づきを得て、真の機能の解明に近づきます。