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奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

Research 研究

教員

石田准教授 准教授

石田 靖雅

重岡助教 助教

重岡 稔章

研究室ホームページ

https://bsw3.naist.jp/ishida/

全学オンラインセミナー

2022年度に開催されたBio Discovery Session(全学オンラインセミナー)のアーカイブ動画の一覧です。
Bio Discovery Session

Webメディア

NAIST Edge BIOは、奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域 の各研究室で取り組んでいる「最先端」の研究プロジェクトや研究成果について、研究者だけではなく受験生や一般の方にも分かりやすく紹介するためのWebメディアです。
NAIST Edge BIO 第3回第28回

研究・教育の概要

当研究室では、常にヒト疾患を念頭に置き、その発症メカニズムや治療法に関する基礎研究を推進します。石田准教授のグループは、免疫学的な自己-非自己識別においてPD-1が果たす役割の解明を目指します。重岡助教のグループは、神経細胞軸索内で局所合成されるタンパク質の機能の解明を目指します。

主な研究テーマ

PD-1の生理機能に関する研究

1991年秋、京都大学の石田らはひとつの新規遺伝子を発見し、programmed death-1 (PD-1) と命名しました。PD-1は、抗原で活性化されたT細胞上に発現されるI型膜タンパク質です。当初その働きは不明でしたが、後の研究により、過剰な免疫応答を沈静化するというPD-1の基本的な生理的機能が解明されました。最近では、抗体でPD-1のこの機能を阻害してT細胞を活性化し、宿主の免疫力によってがん細胞を駆逐する方法が開発され、2018年12月には、京都大学の本庶佑教授にノーベル生理学医学賞が授与されました。しかしながら、免疫学的な自己―非自己識別の際にPD-1が果たす役割については、依然として謎の部分が多いため、私たちはその解明を目指し、研究を推進しています。

図1

(図1) 免疫学的な「自己」の範囲を少しだけ拡大することにより、加齢などの影響で微妙に変化した自分の細胞へ免疫応答が引き起こされるのを回避するために、高等動物はPD-1を獲得したのだろうか?

神経細胞軸索中での局所翻訳に関する研究

神経回路の形成は、神経細胞が軸索と呼ばれる突起を標的細胞へ伸長させる過程により開始されます。核から遠く離れた軸索の末端に存在するタンパク質のほとんどは、細胞体で合成され、タンパク質の軸索輸送により供給されます。しかし、私たちは多くの神経変性疾患の原因遺伝子や軸索の生死を制御する遺伝子のmRNAが、発生段階の軸索内部で局所的に翻訳されていることを明らかにしました。これらの遺伝子の軸索内局所翻訳の神経発生における役割や神経難病への影響を解明するための研究を進めています。

図2

(図2) 発生中の神経細胞軸索中で、様々な遺伝子のmRNAが局所翻訳されていることを明らかにしました。今後は局所合成されるタンパク質の機能解明が重要になります。