研究成果の紹介
微生物インタラクション研究室の吉岡求さん(博士前期課程2年)が「日本生物工学会関西支部学生優秀賞」を受賞
微生物インタラクション研究室の吉岡求さん(博士前期課程2年)が「日本生物工学会関西支部学生優秀賞」を受賞(2025年1月28日)
受賞のコメント
この度は、私の研究を高く評価していただき誠に光栄に思います。ご指導いただきました先生方に感謝申し上げます。これからも日々精進してまいります。
受賞研究課題目
奈良漬の微生物叢と発酵に関与する乳酸菌の解析
受賞内容
奈良漬とは、塩漬野菜を熟成酒粕に漬けて製造する伝統的な漬物です。ぬか漬やキムチをはじめとして、一般的に漬物は発酵食品として知られており、乳酸菌などの微生物による発酵を経て製造されます。同様に、奈良漬においても微生物による発酵が行われていることが推測されていましたが、実態はこれまで不明でした。そこで本研究では、奈良漬の微生物叢の全体像と発酵に関与する微生物の解析を行いました。
奈良漬の各製造工程における微生物叢解析を実施し、製造工程後半で乳酸菌Fructilactobacillus fructivoransが優占種となることを明らかにしました。また、製造試験を通して乳酸菌F. fructivoransが乳酸発酵を担う主要な微生物であることを解明しました。さらに、生育試験によって奈良漬から単離した乳酸菌F. fructivoransが好エタノール性微生物であることを見出しました。好エタノール性とは、エタノール非存在下よりもエタノールを含んだ環境において良好な生育を示す性質であり、微生物に対する毒性物質であるエタノールを含んだ環境への適応戦略であると考えられます。この乳酸菌F. fructivoransが有する好エタノール性が、エタノールを含んだ酒粕に長期間漬け込んで製造する奈良漬という過酷な環境への適応の鍵を握ると推察されます。
関連資料
【微生物インタラクション研究室】
研究室紹介ページ:https://bsw3.naist.jp/courses/courses313.html
研究室ホームページ:https://bsw3.naist.jp/microbial_interaction/
(2025年01月30日掲載)