NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

バイオサイエンス研究科膜分子複合機能学研究室 菅野 泰功さん(博士後期課程2年)が「第16回日本蛋白質科学会年会」にてポスター賞を受賞

バイオサイエンス研究科膜分子複合機能学研究室 菅野 泰功さん(博士後期課程2年)が「第16回日本蛋白質科学会年会」にてポスター賞を受賞 

受賞のコメント

この度,第16回日本蛋白質科学会年会においてポスター賞を受賞することができ大変嬉しく思います。この賞を受賞できたのは,ご指導して頂いている塚崎智也准教授,田中良樹助教授をはじめ,研究室の皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。また共同研究先である金沢大学高速AFMセンターの方々にも感謝申し上げます。今回の受賞を励みに,自身の抱負である「研究を楽しむ」ことを忘れずに研究に邁進していきたいと思います。


受賞時の発表内容 

「Secトランスロコンの1ユニット再構成系の構築と動的探査」
細胞質で合成された蛋白質が膜を越えて輸送される過程(蛋白質膜透過)は,すべての生物に保存されている。細菌では,蛋白質膜透過チャネル「Secトランスロコン(SecYEG膜蛋白質複合体)」とモーター蛋白質「SecA ATPase」が,その輸送を担っている。これまでのSecトランスロコンの結晶構造解析や機能解析から,蛋白質膜透過の様々なモデルが提唱されてきた。しかしながら,3 Å分解能をこえる高分解能のSecYEG複合体の構造や,膜透過反応の分子動態の詳細は分かっていない。まず私たちは,最も高分解能のSecYEGの構造を解明した(関連資料)。この高分解能の構造は,トランスロコンの新たな仕組みを示した。しかしながら,蛋白質膜透過の分子動態の解明は,実際に活きて働く状態の「動」的観察が必須である。そこで,1ユニットで膜蛋白質の再構成が可能である「Nanodisc」と,高い時間分解能と空間分解能を備えた「高速原子間力顕微鏡(高速AFM)」を用いて,世界で初めて時間に依存した1ユニットでの蛋白質膜透過システムの動的な解析をすべく,研究を進めている。 

第16回日本蛋白質科学会年会
http://www.pssj.jp/newsletters/16/5.html

関連する資料

Tanaka Y, Sugano Y, Takemoto M, Mori T, Furukawa A, Kusakizako T, Kumazaki K, Kashima A, Ishitani R, Sugita Y, Nureki O, Tsukazaki T. Crystal Structures of SecYEG in Lipidic Cubic Phase Elucidate a Precise Resting and a Peptide-Bound State. Cell Rep. 13, 1561-1568 (2015)

【膜分子複合機能学】

研究室紹介ページ:http://bsw3.naist.jp/courses/courses309.html
研究室ホームページ:http://bsw3.naist.jp/tsukazaki/

(2016年07月07日掲載)

研究成果一覧へ


Share:
  • X(twitter)
  • facebook