研究室・教員

構造生命科学 (塚崎研究室)

塚﨑智也教授の顔写真
教授
塚﨑 智也
助教
田中 良樹
Email
{ ttsukaza, yotanaka }@bs.naist.jp
研究室HP
http://bsw3.naist.jp/tsukazaki/

研究・教育の概要

2018年8月に塚崎が教授となり「構造生命科学」研究室になりました。生命現象には様々な蛋白質が関わっています。これらが織りなすダイナミックな構造変化に起因する分子メカニズムを原子レベルで明らかとすべく、新たな研究手法を組み合わせた構造生物学的解析による基盤研究を行なっています。当研究室では、大学院生に研究に没頭できる環境を提供し、質の高い成果を発表できるよう指導を行ないます。研究を進めるうえで、実験の計画段階から発表に至るまで様々な能力が必要とされます。大学院生には研究活動をとおして、これらの能力を鍛えることで自己を高め、社会の一員として活躍してくれることを期待しています。

主な研究テーマ

研究のながれを図1に示します(図1)。はじめに蛋白質の構造を原子レベル、分子レベルで明らかとします。詳細な構造を得ることができれば、一気に視界がひらけ、解析対象の蛋白質がどのように機能しているかについて多くの情報を得ることができます。このことが構造の詳細を知ることの最大の利点です。次に、構造情報から考えられる作業仮説を、機能解析などを行うことで検証していきます。最近は、1分子動態解析などの手法も組み入れて蛋白質が生きて働く姿を可視化しようとしています。研究内容は、基盤的な内容を多く含み、一言でいえば「教科書に掲載されるような研究」を進めています。さまざまな蛋白質の研究を進めていますが、特に蛋白質や小分子やイオンなどがどのように膜を超えて輸送されるのかについて解析しています。このような蛋白質は、薬剤の標的因子としても注目されています。

Sec膜蛋白質複合体の作動機構を原子レベルで可視化

Sec膜蛋白質複合体は、細菌の細胞質膜や真核生物の小胞体膜に存在し、新規に合成された蛋白質の膜透過に必要な装置です。蛋白質の膜透過については、後にノーベル賞の受賞に結びついた、1975年にブローベルらが発表した「シグナル仮説」をはじめ、数多くの研究結果が発表されています。私達は、各Sec因子の構造をX線結晶構造解析により決定し、構造情報に基づく機能解析を進め、蛋白質膜透過時に起こる構造変化を明らかにしてきました。今後は研究を発展させ、Sec膜蛋白質複合体の構造を原子レベルでの解明し、時間に依存した反応を追跡していきます。

イオン輸送体などの緻密なメカニズムの解明

細胞は生体膜によって、外界と細胞内や細胞内小器官を隔てています。膜蛋白質の働きにより、細胞は薬剤などの物質の取り込み・排出、情報伝達、エネルギー合成等を行っています。このような膜蛋白質の分子機構の詳細な解明には立体構造が不可欠です。輸送体が適切に機能するメカニズムの解明には、「その機能の本体である輸送の機構」「輸送する基質の識別機構」「輸送の制御機構」この3点を理解する必要があり、原子分解能での構造決定がそのための強力な手段となります。研究成果は生体内における薬剤の取り込み・排出を理解するための基盤情報となります。

(図1)
(図1) 研究のながれ
(図2)
(図2) Secタンパク質の構造解析の例:蛋白質膜透過駆動モーター蛋白質SecDFの様々な状態の結晶構造
(図3)
(図3) 膜輸送隊の構造解析の例:植物の多剤排出トランスポーターの結晶構造

主な発表論文・著作

  1. Furukawa et al., Structure, 26, 485-489, 2018
  2. Tanaka, Iwaki and Tsukazaki, Structure 25, 1455-1460, 2017
  3. Furukawa, Yoshikaie et al., Cell Rep., 19, 895-901, 2017
  4. Tanaka, Sugano et al., Cell Rep., 13, 1561-1568, 2015
  5. Kumazaki K. et al., Nature, 509, 516-520, 2014
  6. Tanaka Y. et al., Nature, 496, 247-251, 2013
  7. Tsukazaki T. et al., Nature, 474, 235-238, 2011
  8. Tsukazaki T. et al., Nature, 455, 988-911, 2008