受験生の方へ 在学生の方へ 教職員の方へ 地域・一般の方へ 企業・研究者の方へ

奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

Research 研究

教員

塚﨑教授 教授

塚﨑 智也

宮﨑助教 助教

宮﨑 亮次

北野助教 助教

北野 健

甲賀助教 助教

甲賀 栄貴

研究室ホームページ

https://bsw3.naist.jp/tsukazaki/

全学オンラインセミナー

2022年度に開催されたBio Discovery Session(全学オンラインセミナー)のアーカイブ動画の一覧です。
Bio Discovery Session

Webメディア

NAIST Edge BIOは、奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域 の各研究室で取り組んでいる「最先端」の研究プロジェクトや研究成果について、研究者だけではなく受験生や一般の方にも分かりやすく紹介するためのWebメディアです。
NAIST Edge BIO 第17回

研究・教育の概要

生命現象には様々な蛋白質・RNA・DNAなどの高分子が関わっています。これらが織りなすダイナミックな構造変化に起因する分子メカニズムを原子レベルで明らかとすべく、新たな研究手法を組み合わせた構造生物学的解析による基盤研究を行なっています。当研究室では、研究に没頭できる環境を提供し、質の高い成果を発表できるよう指導を行ないます。研究活動では、実験の計画段階から発表に至るまで様々な能力が必要とされます。大学院生には研究活動をとおして、これらの能力を鍛えることで自己を高め、社会の一員として活躍してくれることを期待しています。

主な研究テーマ

研究のながれを図1に示します。はじめに蛋白質の構造を原子レベル、分子レベルで明らかとします。詳細な構造を得ることができれば、一気に視界がひらけ、解析対象の蛋白質がどのように機能しているかについて多くの情報を得ることができます。このことが構造の詳細を知ることの最大の利点です。次に、構造情報から考えられる作業仮説を、機能解析などを行うことで検証していきます。最近は、1分子動態解析や生体内動態解析などの手法も組み入れて蛋白質が生きて働く姿を可視化しようとしています。研究内容は、基盤的な内容を多く含み、一言でいえば「教科書に掲載されるような研究」を進めています。薬剤の標的因子を含むさまざまな蛋白質の研究を進めていますが、特に輸送蛋白質やモーター蛋白質を研究対象としています。

図1

(図1) 研究のながれ

Sec膜蛋白質複合体の作動機構を原子レベルで可視化

Sec膜蛋白質複合体は、細菌の細胞質膜や真核生物の小胞体膜に存在し、新規に合成された蛋白質の膜透過に必要な装置です。蛋白質の膜透過については、後にノーベル賞の受賞に結びついた、1975年にブローベルらが発表した「シグナル仮説」をはじめ、数多くの研究結果が発表されています。私達は、各Sec因子の詳細構造を明らかとし、構造情報に基づく機能解析を進め、蛋白質膜透過時に起こる構造変化を明らかにしてきました。今後は研究を発展させ、Sec膜蛋白質複合体の全体構造を原子レベルで解明するとともに時間に依存した反応を追跡するなど、より詳細な動的メカニズムを解明していきます。

図2

(図2) Sec蛋白質の構造解析の例:蛋白質膜透過駆動モーター蛋白質SecDFの結晶構造

イオン輸送体などの緻密なメカニズムの解明

細胞は生体膜によって、外界と細胞内や細胞内小器官を隔てています。膜蛋白質の働きにより、細胞は薬剤などの物質の取り込み・排出、情報伝達、エネルギー合成等を行っています。このような膜蛋白質の分子機構の詳細な解明には立体構造が不可欠であり、それらは生命現象を理解するための基盤情報となります。

図3

(図3) 膜輸送体の構造解析の例:植物の多剤排出トランスポーターの結晶構造

最新の技術を用いた解析

蛋白質の動きを追跡するために、PiXie(pulse-chase and in vivo photo-cross-linking experiment)法を用いた生体内蛋白質動態の解析、共同研究による高速原子間力顕微鏡による1ユニット動態観察や高性能のクライオ電子顕微鏡など最新の技術を用いた解析も進めています。