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奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

Research 研究

教員

別所教授 教授

別所 康全

松井准教授 准教授

松井 貴輝

北川助教 助教

北川 教弘

稲葉助教 助教

稲葉 泰子

研究室ホームページ

https://sites.google.com/view/bessho-lab-top

全学オンラインセミナー

2022年度に開催されたBio Discovery Session(全学オンラインセミナー)のアーカイブ動画の一覧です。
Bio Discovery Session

Webメディア

NAIST Edge BIOは、奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域 の各研究室で取り組んでいる「最先端」の研究プロジェクトや研究成果について、研究者だけではなく受験生や一般の方にも分かりやすく紹介するためのWebメディアです。
NAIST Edge BIO 第15回

研究・教育の概要

脊椎動物をはじめとする多細胞生物のからだは、遺伝子(ゲノム)/代謝/細胞/細胞社会/器官/個体といった階層構造をとっています(図1)。細胞外の情報をもとに、細胞は遺伝子・代謝ネットワークを使ってゲノム情報を読み出し、その結果として分化や分裂、運動などの細胞のふるまいが制御されます。細胞は相互に情報交換を行ない、細胞集団の大きさ、細胞数、かたちなどを感知し、遺伝子・代謝ネットワークのレベルに情報をフィードバックすることによって、形づくりに代表される高次生命機能を営んでいると考えられています。私たちは、遺伝子・代謝ネットワーク→細胞のふるまいの方向だけでなく、細胞のふるまい→遺伝子・代謝ネットワークの方向の制御など階層を超えたフィードバック制御を含んだ生物の形づくりのシステムを理解することを目指しています。

図1

(図1) 多細胞生物のからだは複数の階層から構成されている。

主な研究テーマ

体節形成過程をモデル系とした生物時計の研究

脊椎動物の発生中期の構造物である“体節”は椎骨などの繰り返し構造のもとになっており、周期的な分節化によってつくられます。この周期性は遺伝子発現の振動の周期を使って制御されています。私たちはこの生物時計の分子メカニズムを明らかにしてきました(図2)。個々の細胞の遺伝子発現の振動、すなわち生物時計は細胞間で同調して働いています。私たちは細胞が相互に作用して生物時計を同調させるメカニズムを明らかにしようとしています。遺伝子変異などでこのメカニズムが破綻すると奇形の発生率が高まると考えられるので、奇形を予防する方法の開発につながります。

図2

(図2) マウスをモデル動物として、生物リズムのしくみを解析しています。これまでに私たちは、体節形成を制御する生物時計の転写ネットワークを明らかにしてきました。

発生過程の細胞移動に注目した細胞の社会的ふるまいの研究

動物の発生過程では、細胞は複雑に移動し、相互に作用しながら集合し、正確な大きさ、かたちを持つ組織や器官が形成されます。ゼブラフィッシュの胚は透明であることなどから細胞移動やシグナル活性などのライブイメージングに適した系です。私たちはゼブラフィッシュを用いて細胞の社会的ふるまいを明らかにし、組織や器官のかたちと大きさが決定される原理の解明に取り組んでいます(図3)。特に、水流や水圧を感知する側線器官の発生と再生、内蔵のもとになる内胚葉細胞の集団移動、表皮が傷を受けたあとに傷を修復する仕組み、左右軸を決定するクッペル胞の発生の仕組みと大きさの制御など、多くの生命現象の仕組みを明らかにすることに取り組んでいます。臓器や器官の再生医療の基礎となる研究をおこなっています。

図3

(図3) ゼブラフィッシュをモデル動物として、細胞集団形成や細胞移動のしくみを解析しています。細胞集団が形成される際に、遺伝子ネットワークが集団形成制御することは良く知られていました。この作用に加えて、細胞集団形成が遺伝子ネットワークに影響を与えることを発見しました。