NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室の加知卓磨さん(博士前期課程2年)がトランスポーター研究会より第10回トランスポーター研究会年会「優秀発表賞」を受賞

 バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室の加知卓磨さん(博士前期課程2年)がトランスポーター研究会より第10回トランスポーター研究会年会「優秀発表賞」を受賞しました。

受賞のコメント

 この度、第10回トランスポーター研究会年会において優秀発表賞を受賞することができ、大変光栄に思います。この賞を頂けたのも、大津厳生助教、高木博史教授をはじめ、これまで苦楽を共に研究を進めて下さった、ポスドクの森ヶ崎進博士、河野祐介博士、秦野智行博士、技術補助員の井田慶子さん、吉野みほ子さん、大学院生のナッタ君(現:BIOTEC)、仲谷豪君(現:長瀬産業)、佐々木翠さん(現:日本食研)、鈴木茉里奈さん(現:資生堂)、玉越愛さん(現:日本アルシー)、高橋砂予さん、辰巳恭平君、 城山真恵加さん(現:シャープ)、舟橋依里さん(現:日本写真印刷)、鶴岡愛さん、西口みゆさん、氏本貴仁君、ありがとうございます。また研究室の皆様のご助言にも深く感謝しております。今回の受賞を励みに、今後さらに、研究を発展していけるよう精進していきたいと思います。

トランスポーター研究会年会のホームページ
http://jtra10.jimdo.com/

受賞時の発表内容

『大腸菌は無機硫黄源としてチオ硫酸を優先的に利用する』

 酵母や大腸菌を中心に炭素源や窒素源については優先される化合物や、カタボライトリプレッションの分子機構の全容が明らかになっている。しかし、硫黄源のカタボライトリプレッションについてはほとんど解明されていない。微生物や植物は無機性の硫黄源である硫酸イオンやチオ硫酸イオンを同化し、生体に必須な有機性の硫黄化合物(システイン、メチオニンなど)を合成する。
 私たちのグループは、大腸菌がチオ硫酸イオンを硫酸イオンに対して優先的に取り込み、有機性の硫黄化合物(システイン、メチオニン)を合成する「チオ硫酸リプレッション(Thiosulfate repression, TSR)」を有していることを見出した。しかしながら、その詳細なメカニズムについては不明である。そこで、TSR条件下での硫黄代謝関連遺伝子群の発現を経時的にモニターするシステムを構築し、チオ硫酸優先的なシステイン合成のメカニズムを明らかにしていくことを目指した。最初に、私はルシフェラーゼを発現するプラスミドpLuxに硫黄代謝やシステイン合成に関与する遺伝子の上流配列を連結し、代謝変化による遺伝子発現のプロファイルを経時的に解析するシステムを構築した。構築したシステムを用いてTSR条件下における硫黄代謝関連遺伝子の発現を解析し、CysMの構生的に発現することを見出した。TSRの分子機構として、「硫酸イオンの取り込み活性の阻害」や「硫酸経路に関わるタンパク質の発現の抑制」も観察した(本研究は、農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業の支援を受けて実施した)。

関連する資料

  1. 酵母の培養方法, 大津厳生, 河野祐介, 舟橋依里, 高木博史, 城山真恵加, 加知卓磨, 鶴岡愛, 特願2014-158276

【ストレス微生物科学】

研究室紹介ページ:http://bsw3.naist.jp/courses/courses305.html
研究室ホームページ:http://bsw3.naist.jp/takagi/

(2015年06月24日掲載)

研究成果一覧へ


Share:
  • X(twitter)
  • facebook