NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

バイオサイエンス研究科膜分子複合機能学研究室の塚崎准教授らの論文がScientific Reportsに注目の論文として取り上げられました。

塚崎准教授らの論文が,Scientific Reports に注目の論文として取り上げられました。

 膜分子複合機能学の塚崎准教授らが2013年12月に Nature Publishing Group の Scientific Reports に発表した論文が,注目の論文として Scientific Reports の日本語のウェブサイトに紹介されました。「注目の論文」とは、掲載された論文の中からアクセス数の高いものが選ばれ取り上げられるものです。

http://www.natureasia.com/ja-jp/srep/abstracts/60160

コメント

 私たちはタンパク質の膜透過・膜組込み過程の分子メカニズムの解明にチャレンジしています。本研究は,タンパク質の膜組込みに関わる「大腸菌膜タンパク質YidCの構造を解明」したものです。YidCは動物(ヒトも含む)や植物にも保存されており,呼吸鎖複合体の成り立ちにも関わります。特に,大腸菌のYidCはモデルタンパク質として広く研究が進められており,その構造決定が待たれていました。今回発表した論文に,研究者をはじめ多くの方々がアクセスされたことは光栄です。 

研究内容

膜タンパク質シャペロンで膜組み込み酵素である、大腸菌(Escherichia coli)YidCの結晶構造

 今回発表した大腸菌YidCの構造はX線結晶構造解析によって決定しました(1)。 そのX線回折データの測定は兵庫県佐用町にある SPring-8 のマイクロフォーカスビームラインBL32XUにて行いました。大腸菌のYidCの構造は図に示したように,5本の膜貫通領域と膜外に突出した領域をもちます。私たちが2014年4月に発表した細菌Bacillus halodurans 由来のYidCの結晶構造(2)と比較することで,YidCには生物種間で保存された親水性の溝をもつことを明らかとし,この溝がYidCの機能と密接に関連している事を示しました。膜外領域は大腸菌YidCに特徴的な領域であるが,この領域はYidCと共同してはたらくSecトランスロコン膜透過チャネルとの相互作用部位であることが,過去に示されています。SecトランスロコンとYidCによる膜タンパク質の組込み過程を原子レベルで知ることは、生命の理解に重要です。本研究は,その基盤情報となるYidCの詳細構造を示すことができました。 


関連する論文

(1) Kumazaki K., Kishimoto T., Furukawa A. et al., Sci. Rep. 4, 7299, 2014

(2) Kumazaki K., Chiba S. Takemoto M., Furukawa A. et al., Nature, 509, 516-520, 2014

【膜分子複合機能学】

研究室紹介ページ:http://bsw3.naist.jp/courses/courses309.html
研究室ホームページ:http://bsw3.naist.jp/tsukazaki/

(2015年02月13日掲載)

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