研究成果の紹介
構造生命科学研究室の髙橋祐太郎さん(博士後期課程2年)が、公益社団法人ヤンマー資源循環支援機構の2025年度研究助成対象者に選出されました。
構造生命科学研究室の髙橋祐太郎さん(博士後期課程2年)が、公益社団法人ヤンマー資源循環支援機構の2025年度研究助成対象者に選出されました。
【助成課題名】
キシロースの有効利用化を見据えた細菌の選択的糖類取り込み機構の解明
【採択者(髙橋祐太郎さん)のコメント】
持続可能な社会の実現に向けて、未利用資源の有効活用は喫緊の課題です。私は、植物バイオマスに豊富に含まれる五炭糖の「キシロース」に注目し、微生物における輸送機構を明らかにすることで、資源循環の高度化に貢献したいと考えています。
今回の助成では、X線結晶構造解析やクライオ電子顕微鏡解析を活用した、キシロース輸送体の構造的理解を出発点として、人工トランスポーター設計やバイオプロセスへの応用を見据えた研究を展開させていきます。ヤンマー資源循環支援機構の支援を受け、この挑戦的な研究をより一層加速させられることを大変光栄に思います。
【研究内容】
キシロースは、リグノセルロース系バイオマスに豊富に含まれる五炭糖であり、再生可能資源として高いポテンシャルを有しています。しかし、その有効活用には、微生物による効率的な取り込みと利用の仕組みの理解が依然として課題となっています。
これまでに、微生物のキシロース輸送に関与するPhosphotransferase system(PTS)のIICコンポーネントであるGatCに着目し、Leminorella grimontii 由来GatCを対象に、X線結晶構造解析およびクライオ電子顕微鏡解析を行いました。その結果、GatCの高分解能立体構造を決定し、キシロースを選択的に認識したうえで、細胞質膜を介して輸送する際に「エレベーター型」と呼ばれる剛体的な構造変化を伴うメカニズムの一端を明らかにしました。
今後も、機能改変型トランスポーター設計や未利用バイオマスの高度利用を見据え、キシロース輸送体GatCによる基質輸送機構の分子基盤をさらに深く掘り下げていきます。

【関連プレプリント】
Yutaro S. Takahashi, Hidetaka Kohga, Min Fey Chek, Kotomi Yamamoto, Jun F. Takahashi, Hideki Shigematsu, Yoshiki Tanaka, Muneyoshi Ichikawa, Ryoji Miyazaki, Toshio Hakoshima and Tomoya Tsukazaki. Structural basis of a phosphotransferase system xylose transporter. bioRxiv (2025).
https://doi.org/10.1101/2025.04.02.646771
【構造生命科学研究室】
研究室紹介ページ:https://bsw3.naist.jp/courses/courses309.html
研究室ホームページ:https://bsw3.naist.jp/tsukazaki/
【公益社団法人ヤンマー資源循環支援機構(YESSA: Yanmar Environmental Sustainability Support Association)】
ホームページ:https://www.yanmar.com/jp/shigenjunkan/index.html
(2025年04月08日掲載)