研究成果の紹介
バイオサイエンス研究科植物形態ダイナミクス研究室の古谷将彦助教が公益財団法人住友財団の2012年度基礎科学研究助成対象者に選ばれました。
バイオサイエンス研究科植物形態ダイナミクス研究室の古谷将彦助教が公益財団法人住友財団の2012年度基礎科学研究助成対象者に選ばれました。 本助成は、重要でありながら研究資金が不十分とされている基礎科学研究、とりわけ新しい発想が期待される若手研究者による萌芽的な研究に対する支援を行うものです。
助成受託コメント
この度、公益財団法人住友財団からの研究助成金を頂くことになり、たいへん感謝しております。私は昨年から一年間ドイツに海外留学し、新たな研究テーマの開拓を行ってまいりました。その中で、新たな変異体の解析から高等植物の受精卵の軸形成に影響を与える母性効果を見いだしました。今回頂いた助成金を有効活用し、ドイツで開拓した研究をさらに掘り進め、高等植物の配偶子効果の全容解明を目指したいと思います。
助成受託研究テーマ
胚発生は、雌性配偶子である卵細胞と雄性配偶子である精細胞が融合する受精から始まります。受精に際し、各配偶子は父方ゲノムと母方ゲノムを半分ずつ提供するだけではなく、各配偶子で転写されたRNAも持ち込みます。さまざまな動物種において、配偶子に由来するmRNAが受精後の胚発生に影響を与える配偶子効果がこれまでに報告されています。しかし、植物の配偶子効果については、唯一父性効果遺伝子としてMAPK経路を活性化するSSPが報告されているだけで、まだまだ理解が進んでいません。私は、受精卵の軸形成に重篤な欠損を示す新たな変異体を同定し、その変異が母性効果を示すことを見いだしました。本研究課題では、これらの因子の機能解析から母方効果と父方効果の関係性を明らかにするとともに、配偶子効果因子の網羅的同定を行い、高等植物の配偶子効果を支える分子基盤の解明を目指します。
(2012年11月15日掲載)