NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

バイオサイエンス研究科分化・形態形成学研究室の河野卓成さん(博士後期課程1年)がユーグレナ研究会第27回研究集会で若手優秀発表賞を受賞

 バイオサイエンス研究科分化・形態形成学研究室の河野卓成さんが平成23年11月12日に中部大学春日井キャンパスで行われたユーグレナ研究会第27回研究集会で若手優秀発表賞を授賞しました。

授賞のコメント

今回、ユーグレナ研究会第27回研究集会において、若手優秀発表賞を受賞でき、大変光栄に思います。この研究会では緑藻ユーグレナを中心とし、原核、真核藻類さらには高等植物など、関連する生物の光合成などの生物学を広く議論する研究会です。今回の発表では、生命の起源に非常に近いとされる古細菌という特殊な生物において光合成CO2固定代謝系の原型を見出した研究成果が、研究会に参加された方々に興味を持っていただいたと同時に、高く評価していただけました。今回の受賞は、私が今後研究を続けて行く上でのモチベーションになりました。今後も世界から注目されるようなデータを出していけるよう、研究を続けていきたいと思います。本研究を進めるにあたり、ご指導していただいている横田明穂教授、蘆田弘樹助教をはじめ、ご協力していただいている多くの皆様に、この場を借りて感謝の意を表します。


授賞時の発表内容

 光合成においてCO2を吸収し、糖を合成するための代謝経路であるカルビンサイクルは、植物や藻類、光合成細菌等が利用する主要なCO2固定回路で、この回路では11種類の酵素が反応しています。その中でも、大気中のCO2を糖に結合するリブロースビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ (ルビスコ)と、ルビスコがCO2を固定するための基質を合成するホスホリブロキナーゼがこの回路でだけ機能する特殊な酵素です。生物進化において生物がこれらの酵素を獲得することで、カルビンサイクルが完成し、光合成を営むことが可能となり、植物が繁栄する緑の地球が形成されたと考えられています。私たちの研究室では長年、生物が進化の過程でどのような遺伝子を作ることで光合成CO2固定ができるようになったのか、研究を行ってきました。これまでの研究で、生物進化の過程で生命の起源に非常に近い古細菌が、ルビスコとホスホリブロキナーゼを有していることを発見しました。このことから、生物進化の初期に光合成CO2固定のための代謝回路の原型が誕生していたことが示唆されました。この発見は光合成の進化的完成の謎を解く上で重要な情報で、これまでの生物進化に関する議論に新たな知見を与えると考えられます。また、植物などの光合成能を改良し、生産性を向上するたに必要な情報も与えると期待されます。

(2011年12月07日掲載)

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