研究成果

研究成果

柴博史助手が平成18年度農芸化学奨励賞を受賞

3月25日、細胞間情報学講座の 柴 博史 助手が、平成18年度農芸化学奨励賞を受賞しました。本賞は、農芸化学の進歩に寄与する優れた研究をなし、将来の発展を期待し得る満40歳以下の会員に授与されるものです。

日本農芸化学会のホームページ

受賞コメント

この度、このような伝統ある賞を受賞することが出来まして大変光栄に感じております。これも磯貝彰教授、高山誠司教授をはじめとする細胞間情報学講座のスタッフ、学生、実験補助員および共同研究者の方々のご指導、ご協力の賜と深く感謝しております。また恵まれた研究環境を提供していただいた奈良先端科学技術大学院大学の関係各位にも深く御礼申し上げます。今回の受賞を励みにして、これからも精進を重ねてオリジナルの研究を展開していきたいと思っています。

受賞内容

「アブラナ科植物の自家不和合性における花粉因子の研究」

有性生殖によって生み出される子孫は、両親の持つ性質のいずれか一方のみを受け継ぐ場合が多く知られている。メンデルが発見した「優性の法則」として古くから知られる遺伝現象であるが、何故一方の遺伝子の性状のみが現れるのか、厳密に解析された例は意外と少ない。本受賞課題では、アブラナ科植物の自家不和合性の自他識別に関わる対立遺伝子間の優劣性について解析を進める過程で、劣性側の対立遺伝子のプロモーター領域が、 時期・組織特異的にメチル化され、劣性側の対立遺伝子の発現が抑えられるという現象を発見した。これは優劣性という古典的な遺伝現象に、エピジェネティックな遺伝子発現制御が関与していることを示している。


図A. 劣性 SP11 遺伝子の発現( in situ hybridization)。劣性系統( S60 )の SP11 遺伝子は劣性ホモ個体では葯タペート組織で発現しているが(右)、優性/劣性へテロ株では発現が見られない(中央)。一方、優性系統( S52 )の SP11 遺伝子はヘテロ株でも発現が見られる(左)。T、タペート組織、P、花粉。
図B. 劣性 SP11 遺伝子ゲノム領域のメチル化。優性/劣性ヘテロ株(上段)、劣性ホモ株(下段)の劣性 SP11 ( S60-SP11 )遺伝子ゲノム領域のメチル化をプロットしたもの。優性/劣性ヘテロ株のタペート組織でのみ S60-SP11 遺伝子の5'上流域に高メチル化部位が見られる(枠内)。
図C. 劣性側 SP11 遺伝子のメチル化による発現抑制のモデル。

関連する論文
  1. Shiba H, Iwano M, Entani T, Ishimoto K, Shimosato H, Che FS, Satta Y, Ito A, Takada Y, Watanabe M, Isogai A, Takayama S.
    The dominance of alleles controlling self-incompatibility in Brassica pollen is regulated at the RNA level. Plant Cell. 2002 Feb;14(2):491-504.
  2. Kakizaki T, Takada Y, Ito A, Suzuki G, Shiba H, Takayama S, Isogai A, Watanabe M.
    Linear dominance relationship among four class-II S haplotypes in pollen is determined by the expression of SP11 in Brassica self-incompatibility. Plant Cell Physiol. 2003 Jan;44(1):70-5.
  3. Shiba H, Kakizaki T, Iwano M, Tarutani Y, Watanabe M, Isogai A, Takayama S.
    Dominance relationships between self-incompatibility alleles controlled by DNA methylation. Nat Genet. 2006 Mar;38(3):297-9. Epub 2006 Jan 29.

(2006年06月02日掲載)

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