研究成果

研究成果

植物が気孔を作るメカニズム - 細胞分裂の機構が明らかに -

植物がガス交換を行う器官として気孔は重要な役割を持っている。気孔は葉で作られるが、それ以外にも地上部の多くの組織で作られる。胚軸は胚発生の段階で子葉と根の間に作られる組織だが、発芽後は主に細胞の伸長により長くなり、細胞分裂は殆ど起こらない。唯一、細胞分裂が起こるのが、表皮細胞で気孔を形成する際である。本論文では、胚軸で気孔が作られる際に鍵として働く細胞分裂の制御因子について明らかにした。

細胞分裂は細胞周期の厳密な制御によりコントロールされている。その中心的な制御因子がサイクリン依存性キナーゼ(CDK)であり、その活性はサイクリンにより活性化される。植物のサイクリンはA, B, C, D, H, Tなどのタイプに分けられるが、中でもサイクリンDは植物ホルモンや環境要因のシグナルを受け取り、そのシグナルを細胞周期に伝える重要なサイクリンであると考えられている。シロイヌナズナには10種類のサイクリンD遺伝子が存在するが、その機能は殆ど明らかにされていない。今回、我々はシロイヌナズナのサイクリンD4 (CYCD4)のノックアウト変異体および過剰発現体について解析し、CYCD4が胚軸の気孔形成の最初のステップとなる細胞分裂に特異的に機能していることを見出した。これは機能的に特殊化されたサイクリンが植物の器官形成を制御していることを示した、最初の報告である。


図1. CYCD4を過剰発現すると胚軸の表皮細胞(気孔を作る細胞列のみ)で細胞分裂の亢進が観察される。黄色い矢頭は気孔を示す。


図2. 胚軸の気孔形成過程。原表皮細胞が気孔形成経路に入ると細胞分裂を伴い気孔が形成される。気孔にならない細胞は表皮細胞として分化する。CYCD4は気孔形成経路の最初の段階の細胞分裂を制御する。

掲載論文

Atsushi Kono, Chikage Umeda-Hara, Sumiko Adachi, Noriko Nagata, Mami Konomi, Tsuyoshi Nakagawa, Hirofumi Uchimiya, and Masaaki Umeda The Arabidopsis D-type cyclin CYCD4 controls cell division in the stomatal lineage of the hypocotyl epidermis. Plant Cell, published online, April 20, 2007; 10.1105/tpc.106.046763

(2007年04月23日掲載)

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