研究成果

研究成果

バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室の高木博史教授が公益財団法人不二たん白質研究振興財団の平成26年度研究助成対象者に選ばれました。

 平成26年2月28日付けで、ストレス微生物科学研究室の高木博史教授が公益財団法人不二たん白質研究振興財団の平成26年度研究助成対象者に選ばれました。本助成は、大豆タンパク質および大豆関連成分に関する研究を対象としており、高木教授は食品科学・食品工学・調理科学(遺伝・育種に関する研究、食品の成分・品質に関する基礎研究、食品の加工・利用、非食品工業への利用に関する研究など)の分野における優れた研究として採択されました。 

助成受託のコメント

 私たちは、酵母のストレス応答に重要な転写因子Msn2の過剰発現によって、バイオエタノール酵母やパン酵母の発酵生産能が向上することから、Msn2の過剰発現が産業酵母の育種に応用できる可能性を報告しています(関連する論文1, 2)。また本研究の過程で、研究技術員の橋田恵介君がMsn2をパン酵母で過剰発現させると、種々のアミノ酸アナログに高い感受性を示すことを見出し、現在マレーシア留学生のNoreen Suliani binti Mat Nanyanさんが、実験室酵母を用いてMsn2によるアミノ酸輸送体の活性制御メカニズムの解明に取り組んでいます。今回頂いた助成金を有効活用し、ラボのメンバーが発見した興味深い現象の謎解きと、産業酵母の育種への応用を目指し、研究をさらに発展させたいと思います。 

助成受託の説明

<研究テーマ>
大豆ペプチドを用いた転写因子Msn2による酵母のアミノ酸・ペプチド輸送体の活性制御機構の解析とその応用

<説明文>
 大豆ペプチドはヒトに対する健康増進機能のみならず、酵母の生育や発酵の促進にも有効です。酵母に対する大豆ペプチドの効果は、遊離態では細胞内に取り込まれにくいアミノ酸がペプチド態として効率的に取り込まれることに起因しますが、ペプチド輸送体の活性制御機構については不明な点が多く残されています。私たちは最近、Msn2の過剰発現が未知の機構によってアミノ酸やペプチド輸送体のエンドサイトーシスを抑え、細胞膜に留めている可能性を見出しました(図1)。本研究では、大豆ペプチドを用い、Msn2の過剰発現がどのようにアミノ酸・ペプチド輸送体の活性を制御するのかについて解析します。また、酒類酵母でMsn2を過剰発現させると、酒類中のアミノ酸・ペプチド含量が大きく変化する可能性があるため、一例としてビール酵母を用いて大豆ペプチドを原料にした醸造試験を行い、発酵特性や酒質に及ぼす影響を調べる予定です。

<図の説明>

図1:Msn2の過剰発現
A)Msn2を過剰発現させるとアゼチジン-2-カルボン酸(AZC)、DL-フェニルアラニン(DL-Phe)、カナバニン(Can)など種々のアミノ酸アナログに対して感受性を示すことを見出しました。B)Msn2過剰発現株の細胞では、何らかのメカニズムによって細胞膜上のアミノ酸パーミアーゼ(輸送体)が安定に活性を維持しているため、過剰量のアミノ酸アナログが細胞内に取り込まれ、細胞死に至ると考えています。 

関連する論文

  1. Y. Sasano, D. Watanabe, K. Ukibe, T. Inai, I. Ohtsu, H. Shimoi and H. Takagi: Overexpression of the yeast transcription activator Msn2 confers furfural resistance and increases the initial fermentation rate in ethanol production. J. Biosci. Bioeng., 113, 451-455 (2012).
  2. Y. Sasano, Y. Haitani, K. Hashida, I. Ohtsu, J. Shima and H. Takagi: Overexpression of the transcription activator Msn2 enhances fermentation ability of industrial baker’s yeast in frozen dough. Biosci. Biotech. Biochem., 76, 624-627 (2012).

(2014年04月16日掲載)

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