奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 分子免疫制御(河合研究室)

2025年度

2025.5.9 アメリカ・ニューヨーク州のCold Spring Harbor Laboratory (CSHL) で開催された「Systems Immunology 2025」に参加したD3の廣木君による学会記

 この学会は、免疫系の複雑なネットワークをマルチオミクス解析や数理モデルなどを用いて解析した知見を共有する場であり、臨床・基礎免疫学の研究者だけでなく、数学・情報系の研究者も多く参加しており、分野横断的な活発な議論が交わされていました。

 私は、炎症応答における環状RNA (ノンコーディングRNAの一種) の機能に関する研究成果をポスター発表しました。学会当日は、海外での発表が初めてだったことに加え、免疫学の中でもまだ報告の少ない環状RNAに関する内容ということもあり、発表にどれだけ関心を持ってもらえるか不安でした。しかし、実際にはアメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界中の研究者が興味を持ってブースを訪れてくださり、予定終了時刻の22時半を過ぎても質疑が続くなど、とても充実した発表になりました。

 特に、学会の参加者はマルチオミクス解析に精通している研究者が多かったこともあり、私のポスター発表に訪れていただいた方々からは、これまで私が着目してこなかったクロマチン構造の変化などエピジェネティクスの観点からの意見も多くいただきました。帰国した現在はその助言をもとに新たな解析にも挑戦しています。

 また、他の発表も非常に刺激的で、ヒトオルガノイド(人工的に作製された“ミニ臓器”)や患者サンプルを用いた解析、ワクチン接種前後における免疫細胞の動態を追う研究などがありました。中でも「High-Resolution(高解像度)」というキーワードが頻繁に登場し、性別・年齢差に注目した研究や、計算科学を活用した細胞内ネットワークのシミュレーションなど、精緻な免疫系の理解に向けた多角的なアプローチが印象的でした。

 CSHLのキャンパスは、美しいビーチと緑に囲まれた自然豊かな場所にあり、朝や夕方には研究者同士で散策する姿も見られました。私自身もルームメイトと朝食後にビーチを歩いていた際、日本では絶滅危惧種に指定されているカブトガニに遭遇するという思いがけない体験もありました。こうした自然に癒されながら、研究の枠を超えたリラックスした雰囲気の中で交流を深められたことも、この学会ならではの貴重な経験でした。

 さらに、学会最終日の晩に開催されたバンケットでは、CSHL恒例のロブスター (添え物のジャガイモとブロッコリーがアメリカンサイズ) が提供され、世界各国の研究者とともに食事を楽しみながらこれまでの議論を振り返る、非常に温かく印象的なひとときとなりました。

 今回得られた多くの知見や刺激を今後の研究活動に活かし、炎症応答制御に関わる新規circRNAの機能解明に一層取り組んでまいります。

 最後に、この貴重な国際学会参加にあたり、渡航費等をご支援いただいた日本免疫学会 Tadamitsu Kishimoto International Travel AwardならびにNAIST Granite プログラムに深く感謝申し上げます。また、日頃よりご指導・ご助言をいただき、このような貴重な機会を賜りました河合先生ならびに研究室の皆様にも、この場を借りて心より御礼申し上げます。

 

2025.4.21 実験風景① CRISPR Libraryの増幅

みなさん、こんにちは!今年度もよろしくお願いいたします!

今年度からは、珍しい実験風景の投稿もどしどし行っていく予定です!

その第一号がこちらになります。

私たち、分子免疫研究室ではCRISPR Libraryを用いた大規模スクリーニングを実施中です。

その準備風景の一部を今日はご紹介したいと思います!

こちらの写真は、CRISPR Library用プラスミド増幅のための大腸菌をカルチャーするLBプレート (15 cm dish) を乾燥させる様子になります!

奥に見える小さいものが通常サイズ (10 cm dish) です。写真からおわかりの通り、バカでかいです!

そして、培養室がまるでインキュベータのような匂い、クサい!

 

私たちはこの過程を経てできたプラスミドを用いてスクリーニングを行っています!

私たちと一緒に新規分子の探索、やってみませんか?

気になった方は、ぜひ一度、私たちの研究室にご連絡を!

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