NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

環境許容閾が広いゼニゴケの生存戦略の研究

演題 環境許容閾が広いゼニゴケの生存戦略の研究
講演者 加藤 壮英 博士 (バイオサイエンス領域 バイオエンジニアリング研究室 助教)
使用言語 日本語
日時 2025年3月18日(火曜日) 12:00~12:45
場所 L12会議室
内容

植物は環境変化を敏感に感じ、環境変化に柔軟に対応する仕組みを持つものの、自然界では進化過程で各々の生活環にとって心地の良き場所が選択されている。ところが、地球温暖化が我々の生活に多大な影響を与えるように、
今後予想される極端な高温化、乾燥化は多くの植物の心地よさの許容を超え、生育だけでなく継代にも大きなダメージを与えると考えられる。
コケ植物は、基本的に湿潤で陰地を好むが、乾燥に対してしぶとく、再水和による乾燥個体の回復、無性芽での乾燥期の維持など、環境の許容閾が広い植物であり、その仕組みを理解するのに適したモデル植物である。また、飼い
やすい植物であり、生活環を追ってその能力を評価しやすい。
私は2つのゼニゴケ標準系統株が、高浸透圧ストレスに対して異なる応答性を示す事に気付き、現在はQTL解析による責任遺伝子群の探索を進めている。
現在、2つの遺伝子座が関与を示したが、さらに複数の遺伝子座が関与すると考えている。また、水辺から都会の舗装ブロックなど幅広い生息域を示すゼニゴケを多数採取・飼育しており、それらを利用した解析も計画している。
長らくシロイヌナズナを用いて、微小管と細胞形状、微小管リン酸化による表層微小管の安定性制御のメカニズムの解析を行ってきた。それらについても報告する。

問合せ先 遺伝子発現制御
別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp)

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