アデノ随伴ウイルスベクターを用いた初期胚への遺伝子導入とその応用
- 演題
- アデノ随伴ウイルスベクターを用いた初期胚への遺伝子導入とその応用
- 講演者
- 中川 達哉 氏(大阪大学大学院薬学研究科)
- 使用言語
- 日本語
- 日時
- 2025年3月19日(水曜日) 10:00~10:45
- 場所
- 大セミナー室 (C109)
- 内容
初期胚への遺伝子導入は、生命科学研究において重要な技術です。主に前核期胚への遺伝子導入によって遺伝子改変動物が作製され、遺伝子機能の解析や疾患モデルの作製など様々な研究に活用されています。代表的な方法として、マイクロインジェクションやエレクトロポレーションがあります。しかし、これらの方法には高額な機器や熟練した技術が必要です。一方で、前核期胚は発生が進むと、胎仔へと分化する内部細胞塊と、胎盤へと分化する栄養外胚葉(TE)からなる胚盤胞期胚へと分化します。TEや胎盤の遺伝子機能を研究することは、着床メカニズムや胎盤機能の解析において重要ですが、TE/胎盤特異的な遺伝子導入法は限られています。そこで新たな初期胚への遺伝子導入法の確立を目指し、遺伝子治療などにも広く利用されているアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて、胚への遺伝子導入の可否とその効率を検討しました。その結果、AAV1およびAAV6ベクターが、前核期胚への高い遺伝子導入効率を示しました。さらに、胚盤胞期胚への遺伝子導入効率を検討したところ、AAV1ベクターがTE/胎盤特異的な遺伝子導入が可能であることを明らかにしました。本公演ではAAVベクターを用いた初期胚への遺伝子導入とその応用についてご紹介します。
- 問合せ先
- 遺伝子発現制御
別所 康全 (ybessho@bs.naist.jp)