ユビキチン・プロテアソーム・システムを介した脂肪酸によるメラニン生成制御作用のメカニズム
- 演題
- ユビキチン・プロテアソーム・システムを介した脂肪酸によるメラニン生成制御作用のメカニズム
- 講演者
- 安藤 秀哉 准教授 (同志社大学 スキンエイジング・アンド・フォトエイジングリサーチセンター)
- 使用言語
- 日本語
- 日時
- 2010年4月26日(月曜日) 16:00~17:00
- 場所
- バイオサイエンス研究科 大セミナー室
- 内容
しみは表皮の基底層に存在するメラノサイトがメラニン色素を過剰に生成することで生じる。しみを予防する目的で、これまでに多くのメラニン生成抑制剤が開発されてきた。従来のメラニン生成抑制剤は、メラニン生成酵素チロシナーゼの活性を直接的に阻害するものが主流であった。これに対しわれわれは、不飽和脂肪酸であるリノール酸に、チロシナーゼの分解を促進してチロシナーゼ量を減少せしめ、メラニンの生成を抑制する作用があることを見出した。また、その作用は、リノール酸がユビキチン化チロシナーゼの量を増加し、プロテアソームによるチロシナーゼの分解を促進するというメカニズムであった。興味深いことに、飽和脂肪酸のパルミチン酸はユビキチン化チロシナーゼ量を減少し、リノール酸とは逆にチロシナーゼの分解を抑制してメラニン生成を促進した。細胞内情報伝達機構にも関与している脂肪酸が、細胞内酵素の分解を制御する因子の一つであることが示唆された。
- 問合せ先
- 分子発生生物学
高橋 淑子 (yotayota@bs.naist.jp)