NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

植物におけるシュウ酸蓄積機構の解明

演題 植物におけるシュウ酸蓄積機構の解明
講演者 宮城敦子 博士(埼玉大学大学院 理工学研究科 助教)
使用言語 日本語
日時 2021年8月24日(火曜日) 09:30~10:15
場所 オンライン開催
内容

シュウ酸はさまざまな植物の地上部に蓄積するジカルボン酸である。植物にとってシュウ酸は被食防御や根圏のAlイオンの無毒化などにおいて生理活性物質として役立つ。しかしながら、動物にとってのシュウ酸はミネラル不足や腎結石など、重篤な症状を引き起こす有毒物質である。そのため、
ホウレンソウや稲わらなど作物の低シュウ酸化は農業上の重要課題である。
植物において、これまでに3つのシュウ酸合成経路(①グリコール酸経路、②イソクエン酸経路、③アスコルビン酸経路)が報告されているが、いずれの経路がシュウ酸蓄積に寄与しているのかは不明であった。そこで、タデ科の高シュウ酸植物エゾノギシギシ(Rumex obtusifolius L.)を材料として、CEMSを用いたメタボローム解析を行った。その結果、イソクエン酸経路が主要経路であり、主根に蓄積したクエン酸が転流先の葉でイソクエン酸経路を介してシュウ酸に変換されることが初めて明らかになった。また、シュウ酸含有量が低下した個体では、クエン酸などの有機酸やアミノ酸などの有用
物質が増加することも示された。近年は、植物のシュウ酸蓄積機構を遺伝子レベルで明らかにすべく、イネ(Oryza sativa L.)を用いた解析も行っており、本セミナーではその最新の知見を紹介する。

問合せ先 植物成長制御
梅田 正明 (mumeda@bs.naist.jp)

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