NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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BARファミリータンパク質を介した細胞膜の形態制御とその生理機能

演題 BARファミリータンパク質を介した細胞膜の形態制御とその生理機能
講演者 西村 珠子 博士(バイオサイエンス領域 分子医学細胞生物学研究室 助教)
使用言語 日本語
日時 2021年7月19日(月曜日) 10:45~11:30
場所 Rethink バイオサイエンス大講義室 (L11)
内容
 細胞膜はその形態をダイナミックに変化させ、エンドサイトーシスや細胞移動等の細胞機能を担う。 Bin Amphiphysin Rvs ( ファミリータンパク質は脂質膜に結合し、多量体を形成して膜の形態を制御する。我々はこれまでに、 BAR タンパク質 GAS7 が細胞膜上で平面状の多量体を形成し、マクロファージにおけるファゴサイトーシス膜形成に関与することを報告した(1)
 細胞外小胞(EV)はタンパク質や核酸を内包する脂質膜小胞で、細胞間の情報伝達を担い、がん等の病態にも関与する。細胞外小胞のうち細胞膜由来の large EV (l-EV) は、分泌機構や生理機能が明らかでなかった。我々は、BAR タンパク質 Missing in metastasis (MIM) が突出膜を形成かつ切断し、脂質膜小胞を形成することを見出した(2)。 MIM を細胞に発現すると、細胞外小胞 l-EV の形成が増加した。MIM 依存的な l-EV は、 IRS4 や Rac1 等のタンパク質やリゾリン脂質を内包した。そして MIM 依存的な l-EV は、受容細胞においてIRS4 および Rac1 依存的にラメリポディア形成および細胞移動を促進し、がん細胞の集団的移動を促進した。従って、 MIM は細胞膜から細胞外小胞 l-EVを形成し、ラメリポディア形成を介して細胞移動を促進すると考えられた。
 
【参考論文 】
(1) Hanawa Suetsugu#, Itoh, Ab Fatah#, Nishimura# et al.(#: Equally contributed),
Nature Communications 10:4763 (2019)
(2)Nishimura#, Oyama#, Hu#, Fujioka# et al., Developmental Cell 56: 842-859 (2021)
問合せ先 植物成長制御
梅田 正明 (mumeda@bs.naist.jp)

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