セミナー情報

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1)菌に寄生して生きる植物ランの菌根共生の制御メカニズム
2)既知の受容体を介さない植物のキチンに対する応答機構

演題 1)菌に寄生して生きる植物ランの菌根共生の制御メカニズム
2)既知の受容体を介さない植物のキチンに対する応答機構
講演者 上中 弘典(鳥取大学 農学部 生命環境農学科)
使用言語 日本語
日時 平成30年5月7日(月曜日) 15:00~16:00
場所 L12
内容

1)陸上植物の多くは地下組織で菌類と共生しており、菌根という共生器官を形成している。一般的な菌根共生系とは全く異なり、菌類が他の植物から得た炭素化合物の供給を受ける寄生性の菌根共生を進化の過程で獲得した植物種が多数存在する。この様な特性は菌従属栄養性と呼ばれ、ラン科植物は種子発芽後の生育初期に菌従属栄養性を有する特異な菌根共生系を進化させたことで知られる。我々は生態学者と共同で、進化による菌従属栄養性の獲得ならびに菌従属栄養性の共生制御のメカニズム解明を目指し、野生植物もしくは独自に共生実験系を構築したラン科植物を対象に研究を実施してきた[1-3] 。これらの研究から、ラン科植物における菌従属栄養性の菌根共生はジベレリンを介して制御されていることが明らかになった。

2)様々な生理機能をもつ天然の多糖キチンは、植物の病害抵抗性を誘導するエリシターとしての機能が良く知られており、病理学分野においてキチンに対する応答機構が精力的に研究されてきた。一方で、キチンは水に不溶なため、研究では水に可溶な短鎖キチンが主に用いられてきた。我々は物質科学の研究者と共同で、高分子の形状でキチンを利用できる新素材キチンナノファイバーを用い、植物の病害抵抗性と共生における高分子キチンの機能を調査してきた[4] 。また、メカニズムが解明されていないキチンによる成長促進に関する研究も実施してきた[5] 。これらの研究から、植物における既知の受容体を介さないキチンに対する応答機構の存在が明らかになった。

[1] Suetsugu et al., Mol. Ecol., 26,1652-1669 (2017)
[2] Yamamoto et al., BMC Plant Biol., 17,50 (2017)
[3] Miura et al., Mol. Plant MicrobeInteract., in press (2018)
[4] Egusa et al., Front. Plant Sci., 6,1098 (2015)
[5] Aklog et al., Int. J. Mol. Sci., 17,1600 (2016) 

問合せ先 植物免疫学研究室
西條雄介 (saijo@bs.naist.jp)

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