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脳内空間表現を実空間に一致させるキャリブレーション・コード:時間の前後関係は空間の前後関係を表現する

演題 脳内空間表現を実空間に一致させるキャリブレーション・コード:時間の前後関係は空間の前後関係を表現する
講演者 平本 正輝
使用言語 Japanese
日時 平成27年10月2日(金曜日) 13:30~14:30
場所 L13 Lecture Room
内容 眼や耳の位置は、個人間だけでなく左右間でもばらついているが、脳は高い精度で空間認識を行う事ができる。この例は、脳内空間表現が実空間に一致する様にキャリブレーションされている事を示している。特に人工視覚などの人工感覚器を生体に装着した場合、各々の神経は本来各々が担当していた情報とは異なる入力を受ける事になり、再キャリブレーションが必要になる。 脳内情報表現を端的に示す回路構造として、視野マップが挙げられる。視神経群が網膜から視野マップへ投射する角度・順番は空間認識に直接影響を与える。しかし、システムはどの様な指標を利用して正しい投射向き・順番を知るのか、またその指標はどの様な神経活動パターンにより伝達されるのかなど、具体的な原則は分かっていない。 神経回路は、自然界からの入力を効率的に処理できる様最適化されている事が知られており、神経回路の基本法則は自然界の原則を反映している。その最も良く知られた例が、ヘブ則である。同時に発火した神経間には接続ができるという法則であるが、これは同時に起こるイベントは関連性が高いという実世界の大原則を反映している。 一方で、動物が見る自然界には他にもユニークなルールが存在する。例えば「物体はテレポーテーションしない」、「光は上から注がれる」、「高等動物は前から後ろに流れる映像(Optic Flow)を四六時中見ている」などが挙げられる。これらはまだ明らかになっていない基本法則がある事を示唆している。 今回、自然界のユニークな特徴を反映した回路形成の法則が存在するか調べた。上記の例の中でも、前から後ろに流れるOptic Flowは、空間の前後関係を知る上で有力な情報源となるため注目した。実験系には、脊椎動物の神経可塑性の基本法則を明らかにしてきた実績があるXenopus幼生の視野マップを用いた。 「各々の視神経が見ている視野の前後関係」に関する情報は、脳内空間の前後軸を実世界の前後軸にあわせるために必要である。今回、視神経間の発火の順番が、それらが見ている視野の前後関係として解釈され、それに基づき視野マップに接続される事が分かった。この事は視覚マップのキャリブレーションにおいて、時間の前後関係は空間の前後関係を表現する事を示している。
問合せ先 Neuronal Cell Morphogenesis
稲垣 直之 (ninagaki@bs.naist.jp)

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