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植物におけるNO(一酸化窒素)生成研究の混乱と展望

演題 植物におけるNO(一酸化窒素)生成研究の混乱と展望
講演者 山崎 秀雄 教授 (琉球大学 理学部 海洋自然科学科)
使用言語 日本語
日時 平成23年3月29日(火曜日) 13:30~14:30
場所 バイオサイエンス研究科 大セミナー室
内容

植物における一酸化窒素(NO)研究の歴史は古く、起源は1774年のプリストリーによる光合成の実験にまでさかのぼることができる。一酸化窒素合成酵素(NOS)発見以前にも、NO発生機構に関して興味深い研究がおこなわれていた。Klepper (1975)は、光合成阻害時に大豆葉からNOが放出されることを見いだし、この現象が非酵素的な亜硝酸の還元反応によるものと考えた。これに対し、Harperらはマメ科植物に特有な構成型硝酸還元酵素(cNR)の酵素的亜硝酸還元反応に起因すると反論した。二つのグループ間での局地的論争は1990年代まで続いたが、NO発生はマメ科植物だけに見られる例外的現象であるとして、他の研究者の関心を引くことはなかった。動物NOSの発見が刺激となり、90年代後半から植物でもアルギニン依存性NO合成酵素を見いだす研究が盛んにおこなわれた。2002年には植物iNOS、2004年にはAtNOSがCellおよびScience誌に発表され、哺乳類とは全く異なるアルギニン依存性NO合成酵素の構造と機能に関心が集まった。ところが、2002年にiNOSが、2007年にはAtNOSがデータ捏造産物であるとして、発表論文が撤回される科学スキャンダルに発展してしまった。これらの研究の歴史を概説しながら、亜硝酸依存性NO発生の生物学的意味を、動物と植物の代謝の違いから議論する。

問合せ先 細胞機能学講座
高木 博史 (hiro@bs.naist.jp)

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