NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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14-3-3タンパク質はPKAの活性を制御することで軸索成長円錐の反応を制御する

演題 14-3-3タンパク質はPKAの活性を制御することで軸索成長円錐の反応を制御する
講演者 島田 忠之 博士 (マギル大学モントリオール神経研究所 Visiting Scientist)
使用言語 日本語
日時 2011年1月7日(金曜日) 15:00~
場所 バイオサイエンス研究科 大セミナー室
内容

軸索成長円錐は、神経系の発達において軸索の伸長速度や伸長方向を制御するために重要な機能を有している。軸索ガイダンスのシグナルが成長円錐内において、時間的、空間的にどのように制御されているのかはいまだ明らかになっていない。我々は14-3-3タンパク質が、成長円錐内において多く存在するタンパク質であることを見いだした。14-3-3に対するアンタゴニストであるR18ペプチド、およびmiRNAを利用したアイソフォーム特異的ノックダウンの2つの方法を用いて14-3-3の機能を阻害したところ、DRG神経軸索のNGFに対する反応が反発性から誘引性へと変化した。この変化はタンパク質リン酸化酵素PKAの阻害剤により抑制されたため、14-3-3タンパク質がPKAの活性を制御していることが示唆された。我々は特定の14-3-3アイソフォームがPKAと相互作用すること、およびR18により14-3-3の機能を阻害することでPKAの活性が上昇することを示し、14-3-3によるPKA活性制御の機構を明らかにした。

我々は14-3-3の機能阻害が成長円錐内の細胞骨格系のダイナミクスを変化させることを見いだした。14-3-3タンパク質はNGFによる、糸状仮足の長さの変化、アクチン繊維の求心的流動速度の変化、微少管の成長円錐P-domainへの伸長頻度の変化、以上3つの変化を制御していることを発見した。

これらの結果から、14-3-3はPKAおよびその下流シグナルを制御することで成長円錐が細胞外からのシグナルに対しどのような反応を行うのかを決定する、軸索ガイダンスにおける中心的な機能を果たしていると考えられた。

問合せ先 細胞内情報学講座
稲垣 直之 (ninagaki@bs.ninagaki.jp)

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