セミナー情報

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陸上植物の配偶体と胞子体の発生進化:ヒメツリガネゴケをモデルとして

演題 陸上植物の配偶体と胞子体の発生進化:ヒメツリガネゴケをモデルとして
講演者 榊原 恵子 博士(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻)
使用言語 日本語
日時 2013年5月15日(水曜日) 16:00~17:00
場所 大セミナー室
内容
 生物はその生活を通じて染色体数が1組の単相と染色体数が2組の複相の時期を持つ。陸上植物は単相と複相の両方に多細胞体制を構築し、それぞれ、配偶子(卵細胞と精細胞)を産生する配偶体と胞子を産生する胞子体を交互に形成する異形世代交代を行う。陸上植物の進化の初期に分岐したコケ植物では配偶体が優占しているが、維管束族植物(シダ植物と種子植物)では胞子体が優占している。陸上植物に近縁な緑藻シャジクモ藻類では単相で多細胞となるが、複相では受精卵のみであることから、陸上植物の進化の過程で複相の多細胞化がおこり、維管束植物の系統でさらに胞子体の巨大化・複雑化がおこったと考えられる。このような新規形質の獲得は陸上植物の進化の過程でゲノムに生じた変化によってもたらされたと考えられる。では、どのような変化が胞子体の多細胞化、巨大化、複雑化を導いたのだろうか。
 コケ植物セン類ヒメツリガネゴケPhyscomitrella patensは相同組換えを利用した遺伝子改変が容易なことから遺伝子機能解析に適した材料である。その生活環は3ヶ月程度で一巡し、配偶体と胞子体の両方を容易に観察することができる。また、2008年にコケ植物として初めてに全ゲノムが公開されていることから、緑藻及び他の陸上植物ゲノムと比較することで、陸上植物の進化の過程でゲノムに生じた変化を推定することが可能である。本研究ではヒメツリガネゴケを用いて被子植物胞子体の形態形成遺伝子として報告されているclass 1 KNOX遺伝子とその姉妹遺伝子class 2 KNOX遺伝子、及びWOX遺伝子の相同遺伝子の機能を調べることでみえて来た、陸上植物の形態進化をもたらしたと考えられるゲノム変化について紹介する。

Sakakibara et al., Science 339, 1067-1070 (2013).

問合せ先 植物機能解析学
倉田 哲也 (tekurata@bs.naist.jp)

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