NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

バイオサイエンス研究科動物細胞工学研究室の小池雅昭助教が公益財団法人中谷医工計測技術振興財団の技術開発研究助成・奨励研究助成対象者に選ばれました。

バイオサイエンス研究科動物細胞工学研究室の小池雅昭助教が公益財団法人中谷医工計測技術振興財団の技術開発研究助成・奨励研究助成対象者に選ばれました。 

助成受託コメント 

この度は、このような栄えある賞をいただくことになりまして大変光栄に存じます。この賞を頂けたのは, 日頃から研究を支えていただいている河野憲二教授, 木俣行雄准教授をはじめ、OBを含めた研究室の皆様のお蔭です。 心より感謝申し上げます。この受賞を励みに、 今後さらに研究を発展させ、社会に貢献できるよう精進してまいりたいと思います。まだまだ未熟者ではありますが、これからもこの賞にふさわしい研究者になれるよう研究に邁進していく所存です。 

助成テーマ内容 

「細胞内小胞体ストレスを経時的、空間的に検出するための高感度プローブの開発」

   小胞体はタンパク質合成やレドックス制御、そしてカルシウム濃度の調節を担う細胞内小器官であり、これらの調節機構に異常が生じると小胞体ストレス応答「Unfolded Protein Response:以下UPR」が誘導される。UPRは小胞体ストレスを軽減するためのシャペロン分子やタンパク質分解に関わる因子の誘導、または細胞死シグナルを誘導する。この応答機構には複数の経路が存在するが、我々の研究室では進化的に最も保存されているUPR機構、IRE1α-XBP1(Hac1)経路に注目し研究を進めており、このIRE1α-XBP1経路と蛍光タンパク質を利用した小胞体ストレスバイオセンサー(ER stress Activator Indicator:以下ERAI法)を開発した(東京大学薬学研究科 三浦正幸研究室との共同研究)。このERAI法を用いることで培養細胞のみならず、マウスの生体内においても小胞体ストレスを可視化することに成功している。非常に画期的なシステムであるERAI法であるが、時間分解能や空間分解能が低いなどの問題点がある。

   本研究では、これらの問題点を解決するために 「蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)システムを用いた新規小胞体ストレスバイオセンサーの開発」を研究目的とする。これまでに、細胞内Ca2+やATP などの小分子、またはタンパク質の構造変化を高感度に検出するFRETバイオセンサーが開発されてきた。これらのことより、FRETシステムを用いることで、これまで検出することができなかった短いタイムスケールでの小胞体ストレスの変化や、小胞体内での詳細なストレス発生部位の同定、そしてその反応に関わる細胞内分子機構の解明につながる。現在、バイオセンサーの開発段階ではあるが、本研究で提案するバイオセンサーはこれまで開発されている小胞体ストレスバイオセンサーの時間分解能、空間分解能の低さを劇的に克服することで、これまで明らかにされていない新規UPRシグナル機構の解析を検討することが可能となることが考えられる。 

公益財団法人中谷医工計測技術振興財団
https://www.nakatani-foundation.jp

【動物細胞工学】

研究室紹介ページ:http://bsw3.naist.jp/courses/courses207.html
研究室ホームページ:http://bsw3.naist.jp/kouno/

(2016年04月13日掲載)

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