研究室・教員

動物細胞工学 (河野研究室)

河野教授の顔写真 木俣准教授の顔写真
教授
河野 憲二
准教授
木俣 行雄
助教
都留 秋雄、小池 雅昭
Email
{ kkouno, kimata, mkoike }@bs.naist.jp
atsuru@gtc.naist.jp
研究室HP
http://bsw3.naist.jp/kouno/

研究・教育の概要

ウィルス感染や栄養飢餓あるいは遺伝的疾患などにより構造異常蛋白質が小胞体内に蓄積すると、細胞はその毒性から身を守るために次の3つの応答、(1)小胞体品質管理遺伝子群の転写誘導(UPR:Unfolded Protein Response)、(2)蛋白質の翻訳抑制、(3)異常蛋白質の分解(ERAD)、を起こし細胞の恒常性を保とうとします(図1)。最近では、小胞体ストレスが神経変性疾患の要因であること、またこの応答制御が動物の発生や分化にも重要な役割をになっていることが示唆されています。私達は細胞内での蛋白質の品質管理と小胞体ストレス応答の生理的な役割を、分子、細胞、個体の各レベルで明らかにしたいと考えて研究を進めています。また小胞体ストレス応答の破綻により糖尿病や腸炎などを発症することが分かっており、その発症機構を分子レベルで解析しています。

主な研究テーマ

蛋白質の品質管理と小胞体ストレス応答

小胞体ストレス応答の出発点となるストレスセンサーによるストレス感知のメカニズム(図2)、ストレスセンサーIRE1による標的RNAの認識と切断機構、またその下流のシグナル伝達機構について酵母や動物細胞を用いて分子レベル、細胞レベルで詳細に解析しています(図3)。IRE1-XBP1経路の個体レベルでの生理的役割は、ERAIマウスやIRE1ノックアウトマウスを利用してその解析を進めています(図4)。この他にフォールディングや分解に関与する小胞体分子シャペロンに関しての研究も活発に行なっています。

小胞体ストレス応答の破綻により起こる疾患の解析

小胞体ストレス応答がうまく機能しないと、糖尿病や腸炎(図4)を起こすことが分かってきました。これらの疾患が起こる分子機構を疾患モデルマウス由来の細胞を用いて解析しています。

(図1) 小胞体ストレス応答
(図1) 小胞体ストレス応答
(図2) 小胞体ストレスセンサーIre1のクラスタリング。正常時は小胞体膜上に均一に分布するセンサー(左)がストレス時にはクラスター化する(右)(酵母)
(図2) 小胞体ストレスセンサーIre1のクラスタリング。正常時は小胞体膜上に均一に分布するセンサー(左)がストレス時にはクラスター化する(右)(酵母)
(図3) 一時的翻訳停止によるストレス応答の効率化。動物細胞ではXBP1u mRNAを常に小胞体膜に局在化させストレス時に効率良い細胞質スプライシングを行う
(図3) 一時的翻訳停止によるストレス応答の効率化。動物細胞ではXBP1u mRNAを常に小胞体膜に局在化させストレス時に効率良い細胞質スプライシングを行う
(図4) マウス大腸杯細胞の電顕写真。左は野生型マウス、右はIRE1βノックアウトマウスの大腸杯細胞で、KOマウス由来では小胞体が超肥大化している
(図4) マウス大腸杯細胞の電顕写真。左は野生型マウス、右はIRE1βノックアウトマウスの大腸杯細胞で、KOマウス由来では小胞体が超肥大化している

主な発表論文・著作

  1. Mathuranyanon, R. et al, J. Cell Sci., 128, 1762-1772, 2015
  2. Miyagawa, K. et al, Biosci. Biotechnol. Biochem. 78, 1389-1391, 2014
  3. Adolph, T.E. et al, Nature, 503, 272-276, 2013
  4. Nguyen L.S.T., et al, Biosci. Biotechnol. Biochem, 77, 1337-1339, 2013
  5. Tsuru A., et al, Proc Natl Acad Sci USA, 110, 2864-2869, 2013 (Faculty of 1000Primeにより推薦)
  6. Ishiwata Y., et al, Genes Cells,18, 288-301, 2013
  7. Promlek T., Ishiwata-Kimata Y, et al., Mol Biol Cell., 22, 3520-3532, 2011 (Highlights に選ばれる)
  8. Shinya S. et al., Nucleic Acids Res,39, 5245-5254, 2011 (Featured Article に選ばれる)
  9. Yanagitani K. et al., Science, 331, 586-589, 2011(Science Express, Perspectives欄で紹介)
  10. Yamamoto YH., Kimura T. et al., Cell Struct Funct, 35,107-116, 2010(CSF論文賞受賞)
  11. Yanagitani K. et al., Mol Cell, 34, 191-200, 2009(表紙に選ばれる; Previews欄で紹介)
  12. Iwawaki T. et al., PNAS, 106, 16657-16662, 2009(ScienceのEditor’s Choiceとして紹介)
  13. Kimata Y. et al., J Cell Biol, 179, 75-86, 2007 (In this issue 欄で紹介)
  14. Kimata Y. et al., J Cell Biol, 167, 445-456, 2004
  15. Iwawaki T. et al., Nature Med, 10, 98-102, 2004
  16. Saito M., Iwawaki T. et al., Nature Biotechnol, 19, 746-750, 2001 (News & Views欄で紹介)
  17. Iwawaki T. et al, Nature Cell Biol, 3, 158-164, 2001