研究成果の紹介
バイオサイエンス研究科細胞シグナル研究室の塩﨑一裕教授が公益財団法人アステラス病態代謝研究会の平成24年度研究助成金対象者に選ばれました。
バイオサイエンス研究科細胞シグナル研究室の塩﨑一裕教授が公益財団法人アステラス病態代謝研究会の平成24年度研究助成金対象者に選ばれました。本助成は、急速に高齢化が進む中で社会問題になっているガンや生活習慣病、精神神経疾患などの疾患の解明と画期的治療法の開発に関する研究分野において、独創性・先駆性が高い萌芽的研究提案、および臨床的意義の高い成果が期待できる研究提案を支援するものです。
助成受託コメント
アステラス病態代謝研究会の研究助成は、その申請に推薦者を必要とせず、トップ研究者からなる選考委員会が直接、アイデアおよび課題の先駆性に優れた研究提案を選定するもので、この度、採択して頂いたことは大変名誉なことと深く感謝しています。研究室一丸となって優れた成果を目指したいと思います。
助成受託研究テーマ
ストレス応答を制御するMAPK-TORクロストーク
環境からのシグナルを感知・伝達して細胞の応答を決定するいくつもの情報伝達経路が同定されていますが、それらがどのように高次のネットワークを構成して情報の統合・処理を行うのか、いわゆる経路間のクロストーク (crosstalk) については、まだまだ不明な点が残されています。環境ストレスに応答するMAPキナーゼ経路とTarget Of Rapamycin (TOR) キナーゼを中心とする TORC2 経路の間のクロストーク は、ガン細胞の化学・放射線・温熱療法などに対する反応を左右するものと予想されることから、本研究は、遺伝学的解析の容易な分裂酵母をモデルとして両経路の相互作用を解明し、ヒトがん細胞における両経路間のクロストークの理解に貢献することを目指します。
関連論文
Tatebe, H., Morigasaki, S., Zeng, C.T. and Shiozaki, K. (2010) Rab-family GTPase regulates TOR complex 2 signaling in fission yeast. Curr. Biol. 20, 1975-1982.
Shiozaki, K. (2009) Nutrition-minded cell cycle. Sci. Signal. 2, pe74
Ikeda, K., Morigasaki, S., Tatebe, H., Tamanoi, F. and Shiozaki, K. (2008) Fission yeast TOR complex 2 activates the AGC-family Gad8 kinase essential for stress resistance and cell cycle control. Cell Cycle 7, 358-364.
Shiozaki, K. and Russell, P. (1995) Cell-cycle control linked to extracellular environment by MAP kinase pathway in fission yeast. Nature 378, 739-743.
(2012年11月21日掲載)