研究室・教員

細胞シグナル (塩﨑研究室)

塩﨑一裕教授の顔写真
教授
塩﨑 一裕
助教
建部 恒、両角 佑一
Email
{ kaz, htatebe, y-morozumi }@bs.naist.jp
研究室HP
http://bsw3.naist.jp/shiozaki/

研究・教育の概要

さまざまな刺激、環境を感知してその情報を伝達、処理する細胞内の情報ネットワークの解明をめざしています。特に糖尿病などの代謝病やガン等における細胞増殖異常にかかわる細胞内シグナル伝達経路の分子レベルでの理解は、新たな治療法の開発や新薬の細胞内標的の発見に欠かせません。遺伝子/ゲノム操作が容易に行える分裂酵母(図1)をモデル生物として新しいシグナル伝達因子を発見し、さらにヒト培養細胞で相同因子を解析することで、研究を迅速に進めます。分子遺伝学、細胞生物学、生化学などを組み合わせた多面的アプローチを通じて論理的に研究をデザインする能力を養い、また当初カリフォルニア大学で開設された当研究室では国際的な科学コミュニティーの一員として活動できる学生・研究者の育成に重点を置いています。

主な研究テーマ

TOR (Target Of Rapamycin)シグナル経路の解明

免疫抑制剤ラパマイシンの細胞内標的分子として発見されたTORタンパク質は、TOR complex 1および 2 (TORC1、TORC2)と呼ばれる2種類の複合体を形成し、細胞外の栄養源やインスリン/増殖因子による刺激を伝達するシグナル経路で働くことが明らかになっています (図1)。これらの経路の活性異常が、細胞のガン化、神経疾患、糖尿病や老化に深く関わっている証拠が蓄積していますが、TORC経路の制御機構には未だ多くの謎が残されています。私たちは、多面的なアプローチを駆使することによって、TORC経路の全貌を分子レベルで明らかにしようとしています。

ストレスを感知するMAPキナーゼの制御と機能

環境からのストレスを感知、適応するメカニズムは生物にとって必須ですが、化学・放射線療法にさらされたガン細胞でも同じメカニズムが活性化されています。その中心となるのがストレス刺激で活性化されるMAPキナーゼとよばれるタンパク質リン酸化酵素です。分裂酵母におけるゲノムワイド アプローチを用いながら、ストレスを感知するセンサーからMAPキナーゼの活性化に至るシグナル伝達経路の解明に取り組んでいます。

(図1) TORC1とTORC2による細胞増殖制御。2つのTOR複合体はそれぞれ栄養源および増殖因子のシグナルを感知・伝達し、細胞増殖を促す。
(図1) TORC1とTORC2による細胞増殖制御。
2つのTOR複合体はそれぞれ栄養源および増殖因子のシグナルを感知・伝達し、細胞増殖を促す。
(図2) 分裂酵母(背景)の遺伝学的解析から発見された、TORC2複合体Sin1サブユニットの立体構造。
(図2) 分裂酵母(背景)の遺伝学的解析から発見された、TORC2複合体Sin1サブユニットの立体構造。

主な発表論文・著作

  1. Fukuda, T. and Shiozaki K., Autophagy, 2018, in press
  2. Chia K.H. et al., eLife 6, e30880, 2017
  3. Tatebe H. and Shiozaki K., Biomolecules 7, 77, 2017
  4. Tatebe H. et al., eLife, 6, e19594, 2017 (記者発表)
  5. Hatano T. et al., Cell Cycle, 14, 848-856, 2015
  6. Morigasaki S. et al. Mol. Biol. Cell, 24, 1083-1092, 2013 (Faculty of 1000 Prime の推薦論文)
  7. Morigasaki S. and Shiozaki K., Commun. Integr. Biol. 6, e25020
  8. Tatebe H. et al., Curr. Biol., 20, 1975-1982, 2010 (記者発表)
  9. Shiozaki K., Sci. Signal., 2, pe74, 2009
  10. Morigasaki S. and Shiozaki K., Meth. Enzymol., 471, 279-289, 2009
  11. Morigasaki S. et al., Mol. Cell, 30, 108-113, 2008 (Faculty of 1000 Biologyの推薦論文)
  12. Tatebe H. et al., Curr. Biol., 18, 322-330, 2008
  13. Ikeda K. et al., Cell Cycle, 7, 358-364, 2008
  14. Wang L. et al., Mol. Cell. Biol., 25, 3945-3955, 2005 (Faculty of 1000 Biologyの推薦論文)
  15. Tatebe H. et al., Curr. Biol., 15, 1006-1015, 2005 (Faculty of 1000 Biologyの推薦論文)
  16. Ikner A. and Shiozaki K., Mut. Res., 569, 13-27, 2005