磯谷准教授

磯谷 綾子 准教授

器官発生工学

ご自身の研究内容やその面白さについて教えてください。

私たちの研究室では、1つの体の中に、違うゲノム情報をもつ2つの細胞が共存しているキメラという動物を用いて研究を行っています。このキメラ動物は、受精卵同士を混ぜ合わせて、1つにしたり、受精卵とES細胞やiPS細胞といった多能性幹細胞を混ぜ合わせる発生工学という技術を用いることで、誕生させることができます。私自身が、研究者になりたいと思った動機が、この発生工学という技術を知ったことで、個体発生の間の胚に人為的な操作を加えて、目的の動物を誕生させられることに、生命の神秘を感じます。現在は、特にマウスとラットの細胞が1個体内で共存している異種間キメラ動物を用いて、臓器を創る研究を行っています。

研究現場の苦労や楽しみについて教えてください。

苦労がなければ、喜びもないと思いますが、実験がうまくいかなくて、いくつもの仮説をたてて、うまくいったときは、嬉しいです。あと、世の中に研究成果を論文として報告できたら、一仕事やった実感が湧きます。

期待される成果や社会的意義について教えてください。

動物種の異なる2種類の細胞を合わせ持つ異種間キメラ動物は、現在、再生医療の現場で絶対的に不足している臓器移植用のドナー臓器を多能性幹細胞から創る方法として、注目されています。私たちは、マウスとラットの異種間キメラ動物を用いて、どのようにすれば、どのような臓器が、異種動物の体内で多能性幹細胞由来の移植用ドナー臓器を創ることができるのかを研究しています。このように動物モデルを通して、移植用ドナー臓器が動物の体内で作られ供給される未来を目指しています。

これから受験する学生へ一言応援メッセージ

サイエンスは、未来を創る仕事です。奈良先端大で一緒に未来を創りましょう!

研究室を志望するにあたり、勉強をする上で、おすすめのサイト、本、総説などを教えてください。

エッセンシャル細胞生物学 (南江堂)

発生に興味がある人は、以下の参考書も面白いと思います。
ギルバート発生生物学 (メディカルサイエンスインターナショナル)
マウス胚の操作マニュアル (近代出版)

リフレッシュ方法は何ですか?

我が家の鳥 と、魚 と、植物 に囲まれ、お酒 (ワイン)を飲む事。