研究成果

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バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室の大津厳生助教が一般財団法人バイオインダストリー協会より発酵と代謝研究奨励賞を受賞

バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室の大津厳生助教が一般財団法人バイオインダストリー協会より、「発酵と代謝研究奨励賞」を受賞致しました。「発酵と代謝研究奨励賞」は、バイオサイエンスおよびバイオテクノロジーの領域における自然科学分野で基礎ならびに応用研究において大きな貢献が期待される若手研究者に授与する賞で、1990年からバイオインダストリー協会の「発酵と代謝研究会」により運営されています。

一般財団法人 バイオインダストリー協会のホームページ
http://www.jba.or.jp/pc/activitie/research_encouragement/info/000990.html

受賞コメント

 この度、一般財団法人バイオインダストリー協会より「発酵と代謝研究奨励賞」に採択していただき、大変感謝いたします。本学に着任してから取り組んできた「システインの生理的役割の解明と発酵生産への応用」に関する研究が評価されて、今回、「発酵と代謝研究奨励賞」を受賞できたことに嬉しく思います。本賞にご推薦くださった高木博史教授、これまで苦楽を共に研究を進めて下さった、ポスドクの森ヶ崎進博士、河野祐介博士、技術補助員の井田慶子さん、大学院生のナッタ君(現: BIOTEC)、仲谷豪君、高橋砂予さん、佐々木翠さん(現:日本食研)、鈴木茉里奈さん(現:資生堂)、玉越愛さん、城山真恵加さん、舟橋依里さん、に深く感謝致します。今後さらに、本領域を切り拓いていく精神で研究を進めていきたいと考えておりますのでよろしくお願い致します。

研究テーマ

『サルファーリプレッションによるシステイン生産菌の分子育種に関する研究』

 応募者はゲノム情報等の基盤的知見が蓄積された大腸菌を用い、細胞内のシステイン代謝経路やシステインの生理機能に着目した独自の酸化ストレス耐性機構を解析し、得られた成果をシステイン発酵生産菌の育種に応用する研究に取り組んでいます。その中で、遊離のシステインが細胞質とペリプラズムを、トランスポーターを介して循環しながらH2O2を消去するユニークな酸化ストレス防御機構を見出し、遊離のシステインの生理機能を世界で初めて明らかにしています(J. Biol. Chem., 285, 17479-87, 2010, Appl. Microbiol. Biotech., 81, 903-13, 2009, 日経産業新聞他:5社掲載)。さらに最近では、大腸菌のシステイン生合成経路で未解明であったスルホシステインからシステインへ還元する酵素の同定に成功し、発酵生産への有用性を明らかにしています(Microb. Cell Fact., 11, 2012)。これまで、炭素源・窒素源における選択的な利用機構が微生物には存在する一方、硫黄源に関する選択的な利用機構は知られていません。私達はチオ硫酸経路優先的にシステインを合成する硫黄源の選択的利用機構「サルファーリプレッション」を見出しています。そこで微生物の生育に必須な硫黄源の選択性を利用し、もっとも利用効率のよい硫黄源を選択することで発酵生産性の向上および生産コストの削減に繋げたいと考えています。また微生物による物質生産では、代謝のバランスが崩れ中間代謝産物が蓄積し、生産効率が低下することを防ぐ必要があります。特に硫黄化合物は反応性が高く、高濃度で細胞毒性を示すのはもとより、低濃度でもシグナル伝達物質として作用し、転写や代謝を撹乱する可能性もあります。そこで、チオ硫酸塩を用いたシステイン生産において生じるスルホシステイン、亜硫酸塩、硫化水素に着目し、これら硫黄化合物が生育や転写に及ぼす影響を解析し、得られた知見をシステイン発酵生産の向上に役立てる。硫黄の生理機能を活用した技術開発は、効率的なエネルギー産生の観点で新分野の創出にも繋がると期待できます。本研究の成果は日本がリードしてきた微生物による発酵生産技術の国際競争力強化にも直結すると思います。 

関連する論文


  1. Takeshi Nakatani, Iwao Ohtsu, Gen Nonaka, Natthawut Wiriyathanawudhiwong, Susumu Morigasaki, Hiroshi Takagi: Enhancement of thioredoxin/glutaredoxin-mediated L-cysteine synthesis from S-sulfocysteine increases L-cysteine production in Escherichia coli. Microb. Cell Fact., 11, (2012).
  2. Iwao Ohtsu¶*, Natthawut Wiriyathanawudhiwong*, Susumu Morigasaki, Takeshi Nakatani, Hiroshi Kadokura, and Hiroshi Takagi: The L-cysteine/L-cystine shuttle system provides reducing equivalents to the periplasm in Escherichia coli. *These authors contributed equally to this work. J. Biol. Chem., 285, 17479-17487 (2010). 
  3. Natthawut Wiriyathanawudhiwong*, Iwao Ohtsu*, Zhao-Di Li, Hirotada Mori, and Hiroshi Takagi: The outer membrane TolC is involved in cysteine tolerance and overproduction in Escherichia coli. *These authors contributed equally to this work. Appl. Microbiol. Biotech., 81, 903-913 (2009).

(2013年07月02日掲載)

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