NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

花発生分子遺伝学研究室の岡本彩伽さん(博士前期課程1年)が学術変革領域(A)「植物気候フィードバック」若手の会において「優秀ポスター発表賞」を受賞

花発生分子遺伝学研究室の岡本彩伽さん(博士前期課程1年)が学術変革領域(A)「植物気候フィードバック」若手の会において「優秀ポスター発表賞」を受賞しました(2024年12月13日)。

受賞のコメント

この度、植物気候フィードバック第2回若手の会において優秀ポスター発表賞を受賞することができ、大変嬉しく思います。 
本研究は、伊藤寿朗教授、山口暢俊准教授ならびに花発生分子遺伝学研究室の皆様のご指導の賜物であり、心より感謝申し上げます。 
今回の受賞を励みに、さらなる研究の発展を目指し、一層精進してまいります。

受賞研究課題名

イソプレンによる植物の成長制御と高温応答の分子基盤の解明

植物は成長促進や高温耐性を高めるために BVOC (Biogenic Volatile Organic Compounds)を放出し、その約半分を占めるイソプレンが遺伝子活性化に関与すると考えられるが、その分子基盤は未解明であった。本研究では、イソプレンを放出しないシロイヌナズナにユーカリのイソプレン合成酵素遺伝子(ISPS)を導入した形質転換植物(ISPS ox)を作成し、イソプレンの影響を解析した。ISPS oxでは、葉柄や胚軸が伸長し成長が促進され、高温耐性や順化能も向上した。RNA-seg解析により、通常条件で防御やエチレン応答に関与するWRKY DNA-BINDING PROTEIN(WRKY)、JASMONATE ZIM-DOMAIN(JAZ)、ETYLENE RESPONSIVE FACTOR(ERF)が、また高温条件ではHEAT SHOCK PROTEINS(HSPs)の発現がインプレンにより活性化されることが明らかとなった。さらに、ヒストン修飾解析により、ERFやHSP遺伝子座でH3K4me3やH3K27acの増加が確認された。このことから、イソプレンがこれら遺伝子の転写活性化を通じて成長促進と高温耐性向上をもたらす可能性が示唆された。

関連資料

https://www.plant-climate-feedback.com/awardrecipient

【花発生分子遺伝学研究室】

研究室紹介ページ:https://bsw3.naist.jp/courses/courses112.html
研究室ホームページ:https://bsw3.naist.jp/ito/

(2025年03月05日掲載)

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