研究成果

研究成果

バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室の高木健一さん(博士前期課程1年)が「第6回 日本醸造学会 若手シンポジウム」において「ベストポスター賞(醸造ベーシックサイエンス賞)」を受賞

 バイオサイエンス研究科ストレス微生物科学研究室の高木健一さん(博士前期課程1年)が「第6回 日本醸造学会 若手シンポジウム」において「ベストポスター賞(醸造ベーシックサイエンス賞)」を受賞しました。

受賞コメント

 この度、「第6回 日本醸造学会 若手シンポジウム」において「醸造ベーシックサイエンス賞」を受賞することができ、大変光栄に思います。この賞を頂けたのも、高木博史教授、渡辺大輔助教をはじめ、多くの共同研究者様のおかげであると感じています。また、研究室の皆様の助言にも深く感謝しており、この場を借りて深く御礼申し上げます。この受賞を励みに、今後さらに、研究を発展していけるように精進していきたいと思います。

日本醸造学会若手の会 ホームページ
http://jozowakate.mysterious.jp/wakate.htm



受賞した発表の内容 

RIM15遺伝子機能欠損によるアルコール発酵力向上のメカニズム』 

我々は現在までに、清酒醸造に用いられる実用酵母菌株(清酒酵母)では、ストレス応答に中心的な役割を果たすRim15プロテインキナーゼの機能が欠損しており、そのことが高い発酵力を生み出す主要な原因の一つであることを見出しています1, 2)。しかし、Rim15が発酵を調節する分子メカニズムの詳細については明らかとなっていませんでした。そこで本研究では、実験室酵母のRIM15遺伝子破壊株を用いて発酵過程におけるメタボローム解析を実施しました。
 その結果、まずRIM15遺伝子破壊株では、解糖系の中間代謝産物の含有量が増大していました。この原因を特定するために、解糖系周辺の炭素代謝系に着目したところ、グルコース-6-リン酸から分岐するグルコース同化経路に欠損を示す可能性が示唆されました。このことからRim15は、グルコース同化を促進することによってアルコール発酵を抑制しているのではないかと推測されました。そこで発酵初期の遺伝子発現を詳しく解析した結果、この経路の反応を触媒する酵素をコードする遺伝子のうち、UGP1およびPGM2がRim15と下流の転写因子に依存した発現誘導を示すことを明らかにしました。さらにUGP1遺伝子の発現抑制やPGM2遺伝子の破壊は発酵速度を向上させることも発見しました。以上の結果から、清酒酵母でも同様に、Rim15の機能欠損がUGP1およびPGM2の発現を抑え、グルコース同化を抑制することで高い発酵力を生み出すというメカニズムを解明することができました。 

関連する資料 

  1. Watanabe D, Araki Y, Zhou Y, Maeya N, Akao T, Shimoi H., Appl. Environ. Microbiol. 78, 4008-4016 (2012) 
  2. 渡辺大輔, 化学と生物 50, 723-729 (2012)

(2014年10月20日掲載)

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