セミナー情報

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フラボノイド配糖体化酵素の局所的機能分化

演題 フラボノイド配糖体化酵素の局所的機能分化
講演者 小埜 栄一郎 博士 (サントリーホールディングス株式会社)
使用言語
日時 2010年2月5日(金曜日) 15:00~16:00
場所 バイオサイエンス研究科 大セミナー室
内容

多種多様な二次代謝産物は植物の環境への適応結果であるが、二次代謝物の構造多様性はとりもなおさずそれらを生み出す酵素の基質特異性が変化した結果である。フラボノイドは植物の代表的な二次代謝産物であり、花色発現による花粉媒介者の誘因や共生菌とのコミュニケーション、病原性微生物に対するファイトアレキシンなど様々な役割を果たしている。一般にフラボノイドは植物細胞内においては配糖体として存在しているが糖修飾パターンは種特異的であり、糖転移反応を触媒するUDP糖依存型配糖体化酵素(UGT)の位置特異性と糖供与体選択性がそれを規定している。フラボノイドUGTは糖供与体選択性に関わらず、同じ位置特異性を持つものが種を超えて系統クラスターを形成することから、種分化の前に位置特異性が既に確立されていたと考えられている。

一方、これまでにフラボノイドに対してグルコース、ラムノース、ガラクトース、グルクロン酸、またはアラビノースを特異的に転移するUGTが同定されているが、それらの特異的な糖供与体選択性を決定する分子機構については不明である。我々はシソ目に属する植物がフラボノイドの7位グルクロン酸配糖体を蓄積することに着目し、シソ(シソ科)、タツナミソウ(シソ科)、キンギョソウ(ゴマノハグサ科)、オオイヌノフグリ(ゴマノハグサ科)およびゴマ (ゴマ科)からフラボノイドの7位にグルクロン酸を転移する酵素(F7GAT)遺伝子を逆遺伝学的および生化学的手法により同定し、これらが以前に単離されていたダイズのイソフラボン7位グルコース転移酵素やキンギョソウのカルコン4'位グルコース転移酵素と共に新しい機能クラスター(Cluster IIIb)を形成することを見出した(1)。

ホモロジーモデリング解析によってF7GATのUDPグルクロン酸に対する特異性に関わると思われるSer残基とPSPGボックス内のArg残基を見出し、これらの置換変異体において完全にその糖供与体選択性がUDPグルクロン酸からUDPグルコースへ変換することを確認した。特に塩基性の Arg残基はグルクロン酸の6位のカルボン酸を認識する重要な残基であった(2)。シソ目F7GATの分子進化を例にUGT酵素がどのように新たな糖供与体選択性を獲得してきたのかを考察する。

<参考文献>
  1. Ono, E. Fukuchi-Mizutani, M., Nakamura, N., Fukui, Y., Yonekura-Sakakibara, K., Yamaguchi, M., Nakayama, T., Tanaka, T., Kusumi, T., and Tanaka, Y. (2006) Yellow flowers generated by expression of the aurone biosynthetic pathway. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103, 11075-11080.
  2. Noguchi, A., Horikawa, M., Fukui, Y., Fukuchi-Mizutani, M., Iuchi-Okada, A., Ishiguro, M., Kiso, Y., Nakayama, T., and Ono, E. (2009) Local Differentiation of Sugar Donor Specificity of Flavonoid Glycosyltransferase in Lamiales. Plant Cell 21, 1556-1572.
問合せ先 植物分子遺伝学
島本 功 (simamoto@bs.naist.jp)

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