「中枢神経慢性炎症とミクログリア」
~アルツハイマー病・多発性硬化症を中心に~
- 演題
- 「中枢神経慢性炎症とミクログリア」
~アルツハイマー病・多発性硬化症を中心に~ - 講演者
- 木村公俊 博士 (京都大学大学院医学研究科)
- 使用言語
- 日本語
- 日時
- 2026年9月11日(金曜日) 16:00~17:00
- 場所
- L13
- 内容
<抄録> ミクログリアは中枢神経系の主要な免疫細胞であるが、中枢神経系の難治性病態 における役割に注目が集まっている。特に神経変性病態であるアルツハイマー病 (AD: Alzheimer’s disease)や自己免疫疾患である多発性硬化症(MS: multiple sclerosis)において重要な役割を担っている。AD や MS のリスク遺伝子の多くはミク ログリアで高発現しており、それらの遺伝子の変異や発現変動によって、動物モデル の改善もしくは悪化が報告されている。これらの病態において、ミクログリアは多面的 な役割を果たすことが示されている。例えば、アミロイドβや死細胞・デブリの除去と いった保護的な側面を持つが、一方で炎症性サイトカインの放出等を通して病態を 悪化させる側面も併せ持つ。従って、単純にミクログリアを活性化させるだけでは、病 態の治療にはならない。また、T 細胞等の他の細胞種もミクログリアとの相互作用を 通して、これらの疾患の発症および進展に深く関与していることがわかりつつある。ミ クログリアの多面性や他の細胞種との相互作用を踏まえると、ミクログリアの表現型や シグナル伝達機構を理解し、脳内免疫システムの詳細を解明することが、新規治療 開発に不可欠であると言える。演者はこれまでに、免疫チェックポイント分子である Tim-3 が、ミクログリア機能を制御するための有望な治療標的であることを報告した。 現在は網羅的な遺伝子スクリーニングを通して、より理想的な治療標的探索を進め ている。本講演では、AD や MS といった中枢神経難治性病態におけるミクログリア の機能に関する最新の知見を概説する。
- 問合せ先
- 脳神経機能再生学
松田 泰斗 (matsuda.taito@naist.ac.jp)
奈良先端科学技術大学院大学