小分子RNA経路が規定するダニ媒介性ウイルスの宿主特異性
- 演題
- 小分子RNA経路が規定するダニ媒介性ウイルスの宿主特異性
- 講演者
- 椎森 仁美 博士 (バイオサイエンス領域 RNA分子医科学研究室 助教)
- 使用言語
- 日本語
- 日時
- 2026年8月17日(月曜日) 13:30~14:15
- 場所
- L11
- 内容
節足動物媒介性感染症の流行は世界的な脅威である。マダニが媒介 するウイルス感染症は致死率が高く有効な治療法が未確立なため、流 行制御や治療法につながる研究基盤の構築は急務である。マダニを含 む無脊椎動物においては小分子RNA経路が主要な抗ウイルス機構であ る。小分子RNA経路はウイルスとの軍拡競争によりその分子機構は種 によって多様化し、ウイルスの宿主特異性を規定する因子となり得るが、 ダニ媒介性ウイルスにおける宿主特性への寄与は不明である。鋏角類 であるダニにおいては、脊椎動物や昆虫で失われたRNA依存性RNAポ リメラーゼ (RdRP) が保存されており、独自の小分子RNA経路を持つ。マ ダニにおいて、RdRPがウイルス由来小分子RNAの産生を介してハザラ ウイルス(ナイロウイルス)の増殖を抑制する一方、内在性小分子RNA を介した免疫応答抑制により、ランガットウイルス(フラビウイルス)の増 殖を促進するという二面性を明らかにした。さらに、ウイルス感染により Dicerの発現抑制を介したRNAiの抑制が起きることを見出した。これらの 知見は、小分子RNA経路がウイルス媒介生物の宿主特異性を決定づけ る潜在的メカニズムである可能性を示す。本セミナーでは、他の鋏角類 における新規小分子RNA経路を含めた今後の展望についても紹介する。
- 問合せ先
- 植物代謝制御
出村 拓 (demura@bs.naist.jp)
奈良先端科学技術大学院大学