常在微⽣物コミュニティ(マイクロバイオータ)存在下での植物⽣理学
- 演題
- 常在微⽣物コミュニティ(マイクロバイオータ)存在下での植物⽣理学
- 講演者
- 中野 亮平 先生(北海道大学 大学院理学研究院)
- 使用言語
- 日本語
- 日時
- 2026年6月24日(水曜日) 13:30~14:30
- 場所
- L12
- 内容
植物は環境微⽣物に常時曝されており,その組織内外には多様な常在微⽣物から構成さ れる微⽣物コミュニティ(マイクロバイオータ)が存在している。これらの常在微⽣物 は,植物⽣理に多様な影響を与えることがわかっている。たとえば私たちのグループで は,天然⼟壌で育成したシロイヌナズナの根から単離したRhizobiales⽬常在細菌は,シ ロイヌナズナの主根の伸⻑を顕著に促進することを明らかにしている(Garrido-Oter, Nakano, Dombrowski et al., 2018, Cell Host & Microbe)。この主根伸⻑促進(Root growth promotion, RGP)作⽤において主根先端の細胞を観察すると,分化領域(DZ) の細胞サイズには⼤きな差がない⼀⽅,分裂領域(MZ)において細胞数が顕著に増⼤し ていることがわかった。細胞分裂から細胞伸⻑への切り替えに重要とされるサイトカイ ニンのシグナリング因⼦であるARR1やARR12の変異体やサイトカイニン受容体AHK3の 変異体でも野⽣型と同様のRGP作⽤が観察されたことから,サイトカイニン経路はその 直接の標的となっていないと考えている。常在細菌を接種した根端分裂領域の細胞数は, 無菌環境では観察されることがないほどに増⼤しており,環境微⽣物が植物の発⽣制御 に⼤きな影響を与えると⽰唆される。私たちのグループでは,常在微⽣物の存在が植物 の⽣理学的な振る舞い(発⽣,成⻑,免疫,ストレス応答など)にどのような影響を与 えるのかを明らかにすることを⽬指している。本セミナーでは,RGP作⽤の分⼦メカニ ズムの解明にむけた取り組みを紹介するとともに,植物の⽣理状態を規定する転写プロ ファイルに常在微⽣物が与える影響について紹介する。
- 問合せ先
- 植物発生シグナル研究室
郷 達明 (goh@bs.naist.jp)
奈良先端科学技術大学院大学