セミナー情報

プラスチックによる環境汚染の顕在化から、その経済性や持続性について
の議論が活発になっている。我々はポリエチレンテレフタレート（PET）分解・
代謝細菌Ideonella sakaiensis 201-F6株をペットボトルリサイクル工場より分
離することに成功した。本菌の発見には、PET生分解が研究可能となった
基礎科学の側面と、微生物によるPET循環利用の応用面があると考えてい
る。そこで本学では、I. sakaiensisをPET生分解における微生物モデルとし、
(1)その研究基盤の整備・開発、(2)PET分解メカニズムの完全解明、(3)PET
を発酵原料とした有用産物生産、を柱に研究を進めることで、PET生分解の
意義や可能性を探ってきた。本セミナーでは、I. sakaiensisにおける遺伝学
子操作ツールの開発、新たなPET分解因子の探索と解析、PETを原料とした
生分解性プラスチックの生産、に関する研究成果を中心に紹介する。また、
最近の萌芽的な研究成果にも触れながら、今後の展開についても議論し
たい。