NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

細胞成長を司るTORC1シグナル伝達経路の解析

演題 細胞成長を司るTORC1シグナル伝達経路の解析
講演者 両角 佑一 博士(バイオサイエンス領域 ストレス微生物科学研究室 助教)
使用言語 日本語
日時 2021年11月4日(木曜日) 14:00~14:45
場所 オンライン開催
内容
ラパマイシンの細胞内標的因子であるTargetofRapamycin(TOR)は、酵母からヒトまで高度に保存されたタンパク質リン酸化酵素であり、細胞成長や代謝を制御するシグナル伝達経路において中心的な役割を果たす。TORは、複数の制御サブユニットと共に2種類の複合体(TORC1、TORC2)を形成することで機能する。このうち、TORC1はアミノ酸などの栄養源に応答し、タンパク質などの生体高分子の生合成やオートファジーなどの異化作用を制御することで、細胞成長や代謝をコントロールする。ヒトにおいてmammalianTORC1(mTORC1)の異常活性化は、細胞のがん化や神経疾患を引き起こすと考えられている。また、TORC1が老化や寿命と密接に関わることも報告され、アンチエイジングの観点からもTORC1シグナル経路は注目されているが、その分子機構には不明な部分も多い。我々は分裂酵母をモデルとして、進化的に保存されたTORC1経路の理解を目指して研究を進めてきた。その中で、ヒトmTORC1に備わっている基質認識メカニズムが、分裂酵母TORC1にも保存されていることを明らかにした。また、TORC1活性が野生型とは異なる変異株を用いた遺伝学的スクリーニングにより、TORC1経路で機能する候補因子をいくつか同定することに成功し、現在その機能解析を進めている。さらには、TORC1の抑制によって通常生育阻害を示す高温環境下においても、酵母細胞が増殖できるようになるという興味深い現象も発見した。本セミナーでは、これらの研究成果を紹介するとともに今後の展望について議論したい。
問合せ先 植物成長制御
梅田 正明 (mumeda@bs.naist.jp)

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