NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

新生オルガネラタンパク質の品質管理機構

演題 新生オルガネラタンパク質の品質管理機構
講演者 井澤俊明 博士(東北大学 薬学部 助教)
使用言語 日本語
日時 2021年8月24日(火曜日) 14:40~15:35
場所 オンライン開催
内容

タンパク質の合成過程においては一定の頻度でエラーが生じ、異常なタンパク質が産生される。例えば、タンパク質合成装置であるリボソームの異常停滞(ストール)がその原因の1つとして知られている。リボソームのストールによって作られる異常な新生ポリペプチド鎖はリボソーム関連品質管理機構(RQC)によって認識され分解される。RQCの分子機構についてはこれまでサイトゾルに局在するタンパク質を対象に研究されてきたが、オルガネラへ輸送される異常な新生ポリペプチド鎖がどのような運命をたどるのかについてはよく分かっていなかった。
私たちは、真核生物のモデルとして出芽酵母を用いた研究により、リボソームのストールによって産生される異常な新生ポリペプチド鎖がミトコンドリアに対して非常に強い毒性を示すことを見出した。その原因は、異常なポリペプチド鎖に付加されるCATテイルと呼ばれる特殊なペプチド鎖であった。
さらに、ミトコンドリアをCATテイルのタンパク質毒性から守る新規の品質管理因子としてVms1を同定した。本セミナーでは、CATテイルがミトコンドリアの機能破綻を引き起こす分子機構について最近の知見を紹介する。また、新生オルガネラタンパク質の品質管理機構の今後の研究展開についても議論したい。

問合せ先 植物成長制御
梅田 正明 (mumeda@bs.naist.jp)

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