NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

microRNA生合成とその活性制御

演題 microRNA生合成とその活性制御
講演者 岡村 勝友 博士(シンガポール・テマセク生命科学研究所 主任研究員、南洋工科大学 助教 )
使用言語 日本語
日時 2018年1月11日(木曜日) 10:30~11:30
場所 大セミナー室
内容

小分子RNAであるmicroRNA (miRNA) は、標的mRNAの発現制御を介して、様々な生命現象に重要な働きを持っている。またmiRNAの発現量やmiRNA生合成活性の異常は種々の疾患との関連性が以前より指摘されており、miRNAの発現制御機構の解明は、分子生物学•医学分野での重要な課題のひとつになっている。
これまでmiRNA発現量の調節には、miRNA遺伝子の転写量の調節が重要であると考えられてきたが、プロセッシング過程での転写後調節も重要であることが最近見出されている。しかし、転写後調節機構の全容は明らかになっていない。私の研究室ではmiRNA発現量を転写後に調節する機構を網羅的に検出するため、ショウジョウバエ胚発生過程における個々のmiRNAの転写後調節機構をゲノミクスデータを用いて解析する手法を開発した。これまではmiRNA分子種間における分解速度の差異はあまり注目されてこなかったが、本研究の成果から、特定のmiRNAが素早く分解されていることを見出し、さらにmiRNA分解が胚発生過程における標的mRNA制御に重要であることを示す結果が得られた。また、miRNAプロセッシング因子の発現量が、特定のmiRNAのプロセッシング活性の調節に関わっているとみられる例も発見され、解析を進めている。
現在、miRNA発現量の転写後調節機構の重要性を哺乳動物においても検証しており、本セミナーでは最新の結果を報告し、今後の研究の方向性と展望を議論したい。

問合せ先 植物細胞機能
橋本 隆 (hasimoto@bs.naist.jp)

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