NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

セミナー情報

植物細胞の個性が生まれる時

演題 植物細胞の個性が生まれる時
講演者 遠藤 求 博士(京都大学大学院生命科学研究科 准教授、科学技術振興機構(JST)さきがけ研究者(兼務))
使用言語 日本語
日時 2017年11月30日(木曜日) 09:00~10:00
場所 大セミナー室
内容
移動できない植物は光や温度といった外部環境を鋭敏に感知し、それらのシグナルを概日時計(体内時計)で統合することで周期的な昼夜や季節の変化を予測し・応答している。私たちは、シロイヌナズナをモデル系として、植物の環境応答の組織特異性を研究してきた。これまでの研究から、光受容体や概日時計はほぼ全ての細胞で発現しているにもかかわらず、光や温度といった環境刺激はそれぞれ異なる組織で処理されていることを明らかにしてきた。さらに、概日リズムのパターンは組織ごとに異なっていること、特定の組織間で受容した環境情報を全身に伝達するシステムが存在していることなども示してきた。本セミナーでは、私たちが開発してきた新しい技術と、それによって明らかにされた環境応答の組織特異性について紹介したい。
さらに、概日時計はかなりの遺伝子の発現制御に関わっていることから、細胞タイプ特異的な概日時計の状態こそが細胞の個性を生み出す原動力である一方で、多細胞生物として成立するためには個々の細胞が持つ時間情報は個体レベルで統合される必要があると考えられる。こうした仮説に基づき、私たちは現在、細胞運命決定における概日時計の役割や、維管束系を介した時間情報の伝達システムについて研究を行っており、これらについても併せて議論したい。
問合せ先 植物細胞機能
橋本 隆 (hasimoto@bs.naist.jp)

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