NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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2つの機能をもつ H+-ピロホスファターゼの理解:ピロリン酸加水分解とプロトンポンプ

演題 2つの機能をもつ H+-ピロホスファターゼの理解:ピロリン酸加水分解とプロトンポンプ
講演者 前島 正義 博士 (名古屋大学 生命農学研究科 教授)
使用言語 日本語
日時 2016年11月4日(金曜日) 16:00~17:00
場所 大セミナー室
内容 プロトンポンプは、酸化還元、あるいは光、高エネルギーリン酸化合物のエネルギーを利用して水素イオン(H+)を能動輸送する膜輸送装置である。 H+-ピロホスファターゼは、ピロリン酸(H4P2O7; H2PO3-O-H2PO3)の加水分解で放出されるエネルギーをH+の能動輸送に利用する膜タンパク質(約80kDa、ホモ二量体) である。F1-ATPaseのような回転モーターではなく、分子内の膜貫通ヘリックスの構造変換により作動するイオンポンプである。分子が同定されたのは1989年である。植物の若い組織の液胞膜に多量に含まれ(液胞膜タンパク質重量の約 10%)、同じ膜上で液胞膜H+-ATPaseと協調的あるいは相互補完的な役割をもっている。この数年間の分子生理的な研究展開により、プロトンポンプとしての機能ではなく、ピロリン酸の加水分解に生理的な役割の重点があることも見えてきた。「分子をていねいに見る、分子から細胞を見る」という研究の進め方とともに、生化学的な特徴、生理的な機能について、最新の成果も含めて紹介させていただく。
問合せ先 植物代謝制御
出村 拓 (demura@bs.naist.jp)

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