NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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シロイヌナズナ根端分裂組織でのパターン形成過程におけるシンプラスト経路を介した細胞間相互作用の機能

演題 シロイヌナズナ根端分裂組織でのパターン形成過程におけるシンプラスト経路を介した細胞間相互作用の機能
講演者 宮島 俊介 博士(ヘルシンキ大学)
使用言語 日本語
日時 2011年9月12日(月曜日) 15:00~16:00
場所 大セミナー室
内容
多細胞生物は一定の位置に特定の組織・器官を形成し固有形態を構築する。これをパターン形成と呼ぶ。維管束植物のパターン形成を理解する上で、シンプルな組織パターンをもつシロイヌナズナの根端分裂組織(Root Meristem; RM)は優れたモデルである。これまでに細胞間移行するシグナル因子が担う細胞間相互作用が、RMの正常な放射パターン形成を制御する事が明らかになりつつある。例えば、GRAS型転写因子SHORT-ROOT (SHR)とmicorRNA165/166が細胞非自律的に機能する事で、維管束組織と内皮組織との間で双方向性の細胞間相互作用が形成される。この双方向細胞間相互作用において、内皮組織で特異的に産出されるmiRNA165/166が細胞非自律的かつ濃度依存的に機能し、木部分化に機能するClass III homeodomain leucine zipper (HD-ZIP III)型転写因子PHBULOSAの発現パターンを制御する。
維管束植物では2つの細胞間相互作用経路(アポプラスト経路、シンプラスト経路)が存在する。シンプラスト経路では、シグナル因子はPlasmodesmata (PD)通過し隣接細胞に輸送される。RMにおけるパターン形成を制御するシグナル因子が実際にどのようにして隣接細胞に伝搬されているのかを明らかにするため、我々は、維管束植物の細胞間相互作用経路の1つであるシンプラスト経路に着目した。我々は、PDを介するシグナル因子の輸送を阻害する系を立ち上げ、SHR及びmicorRNA165/166がPDを介するシンプラスト経路で輸送されていることを検証した。加えて、このPDを介するシグナル因子の輸送を阻害する系を用いて、RMのパターン形成を制御する新規の細胞間相互作用とそれを担うシグナル因子の同定と機能解析を行っており、それら解析によって得られた知見をご紹介したい。
問合せ先 植物細胞機能
中島 敬二 (k-nakaji@bs.naist.jp)

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