NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

研究成果の紹介

バイオサイエンス研究科動物細胞工学研究室の國森彩乃 さん(博士前期課程2年) が「第14回酵母国際会議(ICY14)」においてベストポスター賞を受賞

バイオサイエンス研究科動物細胞工学研究室の國森彩乃 さん(博士前期課程2年) が「第14回酵母国際会議(ICY14)」においてベストポスター賞を受賞 しました。

受賞のコメント

この度「14th International Congress on Yeasts」において「Best poster award」を受賞することができ大変嬉しく思います。この賞をいただけたのは、研究を支えてくださっている木俣行雄准教授、河野憲二教授をはじめ、研究室の皆様のお陰です。心より感謝申し上げます。特に、日頃から研究の指導をしてくださっている博士研究員の木俣有紀さんには、深く感謝いたします。今回の受賞を励みに、より一層研究に力を注ぎ、社会に貢献できるよう努めたいと思います。



受賞内容 

「Physical and functional interaction between the endoplasmic reticulum-stress sensor Ire1 and lipid biosynthesis proteins」
 小胞体の機能不全、すなわち小胞体ストレス状態においては、分泌蛋白質の高次構造形成が不全を来たし、変性蛋白質が小胞体内腔に蓄積・凝集します。酵母を含む真核生物細胞は、それに対する防衛として、Unfolded protein response (UPR)を引き起こし、小胞体で機能する蛋白質の発現量が増大します。一方、小胞体は多様な膜脂質の生合成の場でもあり、リン脂質の構成成分であるイノシトールの欠乏も小胞体ストレスとなり、変性蛋白質の蓄積を経ずにUPRが惹起することも我々の研究により明らかとなっています。出芽酵母の小胞体膜には、小胞体ストレスを検知してUPRを引き起こす蛋白質として、Ⅰ型膜貫通蛋白質Ire1が存在しています。
 本研究で我々は、脂質二重層を構成する主要な脂質の一つであるセラミドの生合成の阻害によりUPRが減弱することを見いだしました。そしてセラミドの前駆体となる長鎖脂肪酸合成酵素Elo2とIre1が会合していることも明らかとなりました。また、Elo2の他に様々なセラミド合成酵素の欠損株を用いた実験により、Elo2Δと長鎖脂肪酸αヒドロキシル化酵素であるSCS7ΔにおいてもUPRが減弱するということが明らかとなりました。この結果から、長鎖脂肪酸のついたセラミドがUPRには必要であると考えています。 

【第14回酵母国際会議 /14th International Congress on Yeasts】 

http://icy2016.com/index.html

関連資料

Promlek T, Ishiwata-Kimata Y, Shido M, Sakuramoto M, Kohno K, Kimata Y. Membrane aberrancy and unfolded proteins activate the endoplasmic reticulum stress sensor Ire1 in different ways. Mol. Biol. Cell Vol.
22: 3520-32 (2011). 

研究室紹介ページ:http://bsw3.naist.jp/courses/courses207.html
研究室ホームページ:http://bsw3.naist.jp/kouno/

(2016年10月14日掲載)

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