NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス領域

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第12回梅園賞授賞式が開催されました。

 細胞間情報学研究室研究員、久保健一博士が第12回梅園賞を受賞しました。8月27日大阪南港にあるコスモスクエア国際交流センターにおいて開催中のバイオサマーキャンプ2015の二日目のプログラムとして、第12回梅園賞の授賞式と記念講演が行われました。今年も昨年と同様、サマーキャンプの他の発表と同様に英語での発表となり、学外からの招聘者を含む98名の参加者が聴衆となりました。
 梅園賞は、梅園基金の設立趣旨に沿って、熱気溢れる時期にバイオサイエンス研究に精進し、本学を拠点にして優れた研究成果(論文発表)をあげた本学の助教あるいはポスドク研究員の1名を顕彰するものです。対象者が研究の推進に中心的な役割を果たしたと認められる発表論文(2013年6月1日~2015年5月31日の期間に査読付き国際学術誌に発表されたもの)の学術的価値とオリジナリティの高さに審査の重点が置かれています。受賞者には表彰状と目録が授与されました。

第12回梅園賞受賞者 久保健一博士のコメント

 このたびは梅園賞という大変素晴らしい賞を頂き、光栄に思います。本研究を開始した10年前は、自家不和合性の非自己認識機構は受け入れられておらず、ナス科自家不和合性の研究は混沌とした状態にありました。遺伝子クローニングやシークエンス、植物形質転換、そして温室での植物栽培と交配、観察という、とても地味で基礎的な仕事が研究の大半を占めましたが、地道に取り組んできたことが報われ、嬉しく思います。こうして栄誉にあずかることになったのも、サポートしてくださったラボメンバーの皆さん、そして根気強くご指導くださった高山誠司先生のおかげです。ありがとうございました。 

受賞研究の発表内容(演題と要旨) 

「遺伝子重複と遺伝子交換が、S-RNase型自家不和合性の進化をドライブする」
 顕花植物の自家不和合性(SI)システムは、自己/非自己を識別し、自殖を防いでいる。この自他識別は、一般に対立遺伝子間で多型性を示す雌雄両因子をコードするS遺伝子座のハプロタイプ(S1, S2,… Sn)により制御されており、Sハプロタイプが一致する場合に自殖が阻害されるという点は共通している。しかしながらその分子機構は、解析された植物種毎に異なり、大別すると「自己認識」と「非自己認識」の2つの全く異なるシステムが存在することが明らかになってきた。アブラナ科などは自己認識システムであり、雌雄因子間での自己特異的な相互作用によって自己花粉の排除を誘導する。一方、我々が明らかにしたナス科植物のSIシステムは非自己認識システムであり、雌しべに発現し花粉に対して毒性を有する単一の雌性因子S-リボヌクレアーゼ(S-RNases)を、花粉に発現する複数の雄性因子S-遺伝子座F-boxタンパク質(SLFs)を用い非自己特異的認識・解毒することによって、非自己花粉による受精を促進している。各SLFが一部の非自己S-RNasesの解毒を分担し、全てのSLFsが協調的に全ての非自己S-RNasesを解毒していることから、我々はこのSIシステムを協調的非自己認識と名付けた。
 ナス科の協調的非自己認識に全部でいくつのSLFsが関与するのか、そしてその進化の道筋についてほとんど何も判っていなかった。そこで我々は、SIペチュニアが有するSLFsの網羅的探索と同定を試み、各S-ハプロタイプが16-20個のSLFsを用いていることを明らかにした。さらに、どのSLFがどのS-RNasesの解毒を担当しているのか、系統学に基づいて予測する方法を開発し、形質転換実験によって立証した。対立遺伝子間での遺伝子交換の証拠を発見し、これは非自己認識システムを構成するために必須であるだけでなく、自家和合性変異にも寄与することを示唆する。

(2015年09月03日掲載)

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