概要
脳卒中や外傷などで引き起こされる神経の障害は、治療が困難な現代の難病のひとつです。特に成人の中枢神経に存在する軸索はいったん障害を受けると再生することができないため、障害を持つ患者は一生車椅子等の不自由な生活を強いられることが多く、現在その障害は患者や家族、社会にとって重い負担となっています。私たちのグループで発見されたタンパク質は神経回路の形成や細胞移動を調節するものがあり、これらの研究を通じて現代の難治性疾患である脊髄損傷や脳外傷、認知症、自閉症やがん転移などの治療法の開発につながることを期待しています。
関連業績
- Suzuki, Y., Nakagomi, S., Namikawa, K., Kiryu-Seo, S., Inagaki, N., Kaibuchi, K., Aizawa, H., Kikuchi, K., and Kiyama, H. (2003)
Collapsin response mediator protein-2 accelerates axon regeneration of nerve-injured moter neurons of rat, J. Neurochem. 86, 1042-1050.
特許
- 稲垣直之, 馬場健太郎、熊谷亜美、金村米博、勝間亜沙子、芳賀永、石原誠一郎、川内大輔、青木吉嗣:国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学、独立行政法人国立病院機構大阪医療センター、国立大学法人北海道大学、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター:抗腫瘍剤、抗腫瘍剤のスクリーニング方法、および予後検査薬(特願2023-186968、2023年10月31日出願)
- 稲垣直之, 森達也, 小原収, 長瀬隆弘, 出願人:奈良先端科学技術際学院大学, かずさDNA研究所, Singarの発現または機能の抑制による神経軸索の形成・伸長と神経再生への応用, 特許登録2012年3月23日 特許第4952944号(特願2007-542646, 2006年10月26日出願).
- Inagaki, N., Mori, T., Ohara, O. and Nagase, T., Formation/elongation of axon by inhibiting the expression or function of singar and application to nerve regeneration, National University Corporation Nara Institute of Science and Technology, Ikoma-shi (JP): Kazusa DNA Research Institute, Kisarazu-shi (JP), United States Patent (December 13, 2011), Patent No.: US8,076,307 B2.
- 稲垣直之、島田忠之、鳥山道則、小原收、長瀬隆弘、神経成長円錐局在分子Shootin1もしくはそのスプライシング バリアントを利用した神経軸 索の形成・伸長と神経再生への応用、国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学、財団法人かずさディー・エヌ・エー研究所、取得年月日:2010年08月24日、特許第4592352号