研究室・教員

卒業生の声 - 拡がるNAIST遺伝子 -

野村 誠 さん

就職先
チッソ株式会社
修了年度
2006年度(博士) 生体高分子構造学
野村 誠さんの近況写真

私は、学部時代には、物理学と生物学を勉強し、電気生理学で卒業研究をしていました。NAISTには、体系的な教育と支援があり、新たな研究分野を勉強したいことから選びました。生体高分子構造学講座の児嶋長次郎先生が赴任された時の第1期生として5年間研究し、構造生物学で博士の学位を取得しました。

さて、卒業後の私は、日本の化学工業のパイオニアであり100年の歴史を持つチッソ株式会社へと就職しました。入社後には、液晶化合物の量産化の業務に携わってきました。仕事内容としては、研究所でのデータを下に、実際のプラントで数十から数百kgの生産へと橋渡しをすることです。また、原料を海外から購入することも頻繁にあり、文章作成や会議の業務も行います。

学業と現在の仕事の関係は、表面的にはまったく異なる分野でありますが、受けた教育は、現在の業務遂行の血肉となっております。すべての要素は論文を書くということに集約されると思います。論文は、世界で同じ研究をしている人たちよりも早く発表しなければ価値が著しく下がります。NAIST時代は、このシンプルかつ厳しい目標に立ち向かうために、焦り、落込み、回復を繰り返しながら、やり方を少しずつ学びました。これは、教科書もなく自分で模索する苦しいことでした。現在の化学産業では、生物学研究に匹敵するスピードの速さであり、これを心を追い詰めずに仕事をすることは、研究論文を書いて卒業するという行為と差はありません。技術的にも、論文英語と国際学会でのディスカッションは、そのまま中国などの外注先との業務に役立っています。未知の分野への効率的な勉強法は、入社後に直面した有機合成と化学工学へ立ち向かうときの障壁をずいぶん下げました。核磁気共鳴法を通じて学んだ分析は、品質検査データ解釈の基礎となっています。

大切なことは、今の分野にこだわらないことだと思います。私の専門は○○です(だから他は関係ない)、といった主張を自分で立てないことだと思います。一方で、一度決めたことはやり通すと思っても見なかった次の目標が見えてきます。これらはNAISTで体験しました。これからNAISTで学ぶようになる方もいるでしょう。企業に勤める身として、本当によい教育を受けたと私個人は思っております。あなたも何らかのあなたならではの血肉をNAISTで得ることができると、私は思います。

【2009年07月掲載】

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